エルダー2020年7月号
19/68

特集スポーツと健康と高齢者エルダー17リー、睡眠データを管理できる腕時計型端末を配付し、スマートフォンのアプリと連動させて健康関連データの自動収集を開始した。このような健康経営の取組みにより、2008年から2012年の調査で判明していた社員の不健康化と、医療費が増大していた状況が改善。2018年には、2014年比で喫煙者が11・7%減少したほか、健康診断においては正常の人が脂質の項目で1・8%、肝機能は0・4%それぞれ増加、総合判定としての有所見者が占める割合は6・7%減少するなどの成果が上がっている。また、2016年には健康経営先進企業として第4回プラチナ大賞イノベーション賞を受賞し、2018年からは、経済産業省および日本健康会議の健康経営優良法人認定制度において、3年連続で「健康経営優良法人・大規模法人部門」の認定を受けている。なお、自社開発した「Health‐Ledger」は、健康経営を始める企業向けにビジネス展開を行っている。同社のグループ会社である正興ITソリューション株式会社サービス部の今いま道みち浩ひろ幸ゆきヘルスケアグループ長は、「生活習慣病などの発症・重症化を予防するための健康経営の実現を提案しています。数年前は営業先で見向きもされませんでしたが、最近は『従業員の健康管理のために』と反応をいただけるようになりました。健康経営への興味の高さを感じます」と話す。軽い運動を休み時間に取り入れリフレッシュ同社では社員の運動サポートのために、休日のウォーキングの推奨といった取組みのほか、アクティブレストの取組みとして「10分ランチフィットネスⓇ」を導入している。10分ランチフィットネスⓇは、その名の通り昼休みのうちの10分間を利用して行う簡単なフィットネス運動。変調する音楽に合わせて、身体ほぐし、脳機能を向上させるための指先運動、有酸素運動、筋力トレーニング、ストレッチなどをバランスよく取り入れた運動プログラムだ。軽い運動のため、着替える必要がなく、運動が苦手な人でも簡単にできることも企業で取り入れやすいポイントだ。汗をかかない程度の軽い負荷は昼休みの運動にちょうどよく、心身をリフレッシュさせてくれるという。10分ランチフィットネスⓇを導入したきっかけは、2015年に産業医科大学健康開発科学研究室との共同研究として、アクティブレストの実証実験に参加したこと。実証実験では週に3回、昼休みに10分間の運動を2カ月半行った。その結果、1日の活動量(歩数)が7200歩から8500歩に増え、対人ストレスが5点評価のところ3・1から2・8に減少し、職場の活気が3・0から3・4に上昇したという。さらに、アクティブレストの参加率が高い人の方が活力の数値が上がっていることも立証された。こうした結果を受けて、実験では本社のみで実施していたアクティブレストを、古賀市にある工場にも導入。週2回、月曜と水曜の昼休みに10分ランチフィットネスⓇを実施している。経営統括本部人材活性推進部の金内元紀人材開発グループ長(左)、正興ITソリューション株式会社サービス部の今道浩幸ヘルスケアグループ長(右)

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る