エルダー2020年7月号
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特集スポーツと健康と高齢者エルダー19日常生活を送るうえで困らないようにする義足をつくるスポーツ用義足を手がける義肢装具士としてテレビ、新聞、雑誌などさまざまな媒体で活躍ぶりが紹介されている臼井二美男さん。そのキャリアは1983(昭和58)年に始まり、64歳になった現在も第一線で活躍している。臼井さんが所属する公益財団法人鉄道弘済会義肢装具サポートセンターは、事故や病気で手足を失った人のための義肢や身体をサポートするための装具を製作から装着訓練まで一貫して行う民間における国内唯一のリハビリテーション施設。臼井さんは義足を担当し、研究室長を務めながら義足をつくる日々を送る。現在、同センターでは約5千人の義肢・装具を製作しており、義足の製作はそのうち3500人ほどだ。スポーツ用義足の第一人者として、パラリンピックアスリートを支えていることで知られる臼井さんだが、「スポーツ用義足を使っているのは担当している人の1割程度。ほとんどは子どもからお年寄りまで、幅広い年齢の人たちが日常生活を送るうえで困らないようにするための義足をつくっています。スポーツ用の場合は、競技に合わせて素材や形状を変えますが、製作するうえで大事なことは基本的にはどの義足も同じ。その人に合わせて、その人に合ったものをつくる、ということです」と説明する。同センターでは一人の職人が依頼者の一人ひとりに対応して製作する担当制で、臼井さんは修理なども含めて現在400人ほどの義足を担当しているそうだ。「まず足の型を取り、その型を基にして義足をつくります。2回目に来てもらったときに仮合わせをして、最短だと3回目で完成しますが、仮合わせを3、4回しても合わない場合もあります。完成後も微妙な調整が必要なことも多いので依頼者とは長いつき合いになります。身体につけたときの感じ方には個人差があり、きつい、ゆるい、痛い、こそばゆい、もぞもぞ、むスポーツ用やファッション性に富んだ義足をつくりチャレンジする人を長く支え続ける公益財団法人鉄道弘済会義ぎ肢し装そう具ぐサポートセンター 義肢装具士 臼うす井い二ふ美み男おさんテーマ 2スポーツを第一線で支える高齢者 ①臼井二美男さん。右手に持つのが通常の義足、左手に持つのがスポーツ用義足(写真提供:義肢装具サポートセンター)

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