エルダー2020年7月号
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エルダー25FOOD日本史にみる長寿食食文化史研究家● 永山久夫新ショウガで免疫力パワーアップ旅に欠かせなかったショウガ半袖姿の人が増えてくるころになると、葉つきショウガも出で盛さかりの時季を迎えます。辛味も、まだあっさりしていてみずみずしい新ショウガ。若々しいショウガに生味噌を添え、ご飯のそばに置くと食がどんどん進みます。また、昔は、旅などで遠出するときは、何をおいても、干しショウガをつくり、道中薬として忘れずに携帯しました。薄くスライスして天日干しにしたもので、疲れたり、体が熱っぽいようなとき、腹痛のときなどに、そのまま噛み、あるいは砂糖湯に入れて飲んだりしました。女王卑弥呼で有名な『魏ぎ志し倭わ人じん伝でん』にも、古代の日本にはショウガがあったとの記述があり、魚料理に添えたり、薬用などに用いていたようです。『魏志倭人伝』のなかでは、卑弥呼の時代の日本人はたいへんに長生きで、「100年あるいは80、90年まで生きる」とあり、食による健康管理に長たけていたのだと考えられます。免疫力を高める効果があるショウガショウガには200種以上もの香り成分が含まれていて、そのなかには発汗や解熱作用、免疫力を強くする働き、健胃作用という効果を持ったものが少なくありません。脳の活動を活性化する作用の強い成分もあり、注目されています。辛味成分のジンゲロンとショウガオールは、ともに抗酸化作用があり、ウイルスなどに対する免疫力を高める効果もあるといわれています。昔から日本では、のどが痛い・はれっぽいと思ったら、黒砂糖にすりおろしたショウガを加え、熱湯を注いで、熱々のうちに飲み、早めに休むと風邪などの予防に効果があるとされていました。「ショウガ紅茶」という方法もあります。ショウガをスライスして、紅茶ポットに入れ、紅茶と好みの砂糖(黒砂糖がベター)を加え、熱湯を注いだら、3分ほどおいてから飲みます。血行もよくなり、体も心も芯からポカポカ。新ショウガを用いると、はるかに香りがよく美味です。321

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