エルダー2020年7月号
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2020.740今回の連載は賃金がテーマです。まず最初に、読者のみなさんには次の仮想事例について考えていただきたいと思います。* * *ある会社のことです。同じ賃金をもらう営業スタッフのAさんと技術者のBさんは、社長に次のことを訴えています。Aさんはこういいます。「技術部門が魅力的な製品を開発できていないのに、会社として利益が上がっているのは、営業部門できません」そして最後に、2人はともに社長に対して、「なぜ2人の賃金が同じなのか」について納得できる説明を求めました。のがんばりがあるからで、営業部門の会社に対する貢献は技術部門より大きいといえます。その営業部門でこれだけの成績を上げているのに、Bさんと同じ賃金では納得できません」他方、Bさんはこういいます。「営業部門が売上げを上げられるのは、技術部門が売れる製品を開発したからで、技術部門の会社に対する貢献は営業部門を上まわります。その技術部門でこれだけ新製品を開発しているのに、Aさんと同じ賃金では納得* * *読者のみなさんが社長だったら、この2人の苦情にどのように答えますか。2人が納得できる回答ができれば、高齢社員の賃金の問題にも対応できるはずです。なぜそうなのかについては、連載を通して考えてみてください。 高齢者雇用を推進するうえで重要な課題となるのが高齢社員の賃金制度です。豊富な知識や経験を持つ高齢社員に戦力として活躍してもらうためには、高齢社員の能力や貢献を適切に評価・処遇し、高いモチベーションを持って働いてもらうことが不可欠となります。本連載では、高齢社員戦力化のための賃金戦略について、今野浩一郎氏が解説します。高齢社員の学習院大学名誉教授 学習院さくらアカデミー長 今野浩一郎いま  の第1回新連載高齢社員の賃金を考える二つの視点

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