エルダー2020年7月号
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TH」(https://www.forth.go.jp/index.html)というウェブサイトにおいては、各国の留意すべき疾病などの情報がまとめられており有益です。また、外務省が公表している「世界の医療事情」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/)においても、各国の医療水準や主要な医療機関などが掲載されており、こち労働時間と休憩時間とは1近年、労働関連法に対する意識の高まりもあり、未払い残業代が請求されることも増えらも赴任前に確認しておくべきでしょう。そのほか、海外の事業場に属して労務提供する海外派遣者については、労働者災害補償保険法による支給を受けられないとされているため、特別加入を申請し、労災保険の支給対象となるように準備しておく必要がある場合もあります。てきています。会社としては、労働時間として把握している範囲については残業代を支払っているところ、出社してから労働時間の開始までの時間や、休憩時間としている時間などについて、残業代請求を求められるケースです。会社が休憩時間としてあつかっているという場合でも、さまざまな類型があり、例えば、長距離トラック運転手の荷下ろしの待機時間、警備員や長距離バス運転手の仮眠時間などさまざまなケースがあります。労働時間の定義については、最高裁の判例で基準は確立されていますが、個々の会社ごとにどう考えていくのかについては、むずかしいところがあります。最高裁の判例が示している基準は、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」をいい、「客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない」とされています。そして、「使用者から義務付けられ」または「これを余儀なくされたとき」は、「使用者の指揮命令下に置かれたもの」で、労働時間に該当するとされています(最判平成12年3月9日)。この裁判例に加えて、最高裁は、不活動仮眠時間に関して「労働者が実作業に従事していないというだけでは、使用者の指揮命令下から離脱しているということはできず、当該時間に労働者が労働から離れることを保障されていて初めて、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができる」と判断しています(最判平成14年2月28日)。これらの判例からいえることは、労働契約使用者からの指揮命令がない場合でも、労働することが余儀なくされていた場合には、たとえ休憩時間として設定していたとしても労働時間に該当する場合があります。休憩時間とする場合には、労働からの完全な解放が必要であるため、休憩時間中には小さな業務であったとしても対応をしないよう徹底しておく必要があります。A2020.746労働時間と休憩時間の区別についてくわしく知りたい会社を退職した労働者から、未払い残業代を請求されました。内容をよく見てみると、会社としては、始業前の時間や仮眠用の休憩時間であって、労働時間として把握していない時間に関する未払い残業代のようです。会社としては、始業前の時間や休憩時間については、労働することを求めていない時間であるため、労働時間になる余地はないと思うのですが、問題があるでしょうか。Q2

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