エルダー2020年7月号
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2020.752 ・高年齢労働者が、職場で気付いた労働安全衛生に関するリスクや働く上で負担に感じている事項、自身の不調等を相談できるよう、企業内相談窓口を設置することや、高年齢労働者が孤立することなくチームに溶け込んで何でも話せる風通しの良い職場風土づくりが効果的であること。 ・働きやすい職場づくりは労働者のモチベーションの向上につながるという認識を共有することが有効であること。(2)危険源の特定等のリスクアセスメントの実施高年齢労働者の身体機能の低下等による労働災害の発生リスクについて、災害事例やヒヤリハット事例から危険源の洗い出しを行い、当該リスクの高さを考慮して高齢者労働災害防止対策の優先順位を検討(以下「リスクアセスメント」という。)すること。その際、「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」(平成18年3月10日危険性又は有害性等の調査等に関する指針公示第1号)に基づく手法で取り組むよう努めるものとすること。リスクアセスメントの結果を踏まえ、以下の2から5までに示す事項を参考に優先順位の高いものから取り組む事項を決めること。その際、年間推進計画を策定し、当該計画に沿って取組を実施し、当該計画を一定期間で評価し、必要な改善を行うことが望ましいこと。これらの事項を実施するに当たっては、以下の点を考慮すること。・小売業、飲食店、社会福祉施設等のサービス業等の事業場で、リスクアセスメントが定着していない場合には、同一業種の他の事業場の好事例等を参考に、職場環境改善に関する労働者の意見を聴く仕組みを作り、負担の大きい作業、危険な場所、作業フローの不備等の職場の課題を洗い出し、改善につなげる方法があること。・高年齢労働者の安全と健康の確保のための職場改善ツールである「エイジアクション100」のチェックリスト(別添1)※を活用することも有効であること。・健康状況や体力が低下することに伴う高年齢労働者の特性や課題を想定し、リスクアセスメントを実施すること。・高年齢労働者の状況に応じ、フレイルやロコモティブシンドロームについても考慮する必要があること。なお、フレイルとは、加齢とともに、筋力や認知機能等の心身の活力が低下し、生活機能障害や要介護状態等の危険性が高くなった状態であり、ロコモティブシンドロームとは、年齢とともに骨や関節、筋肉等運動器の衰えが原因で「立つ」、「歩く」といった機能(移動機能)が低下している状態のことをいうこと。・サービス業のうち社会福祉施設、飲食店等では、家庭生活と同種の作業を行うため危険を認識しにくいが、作業頻度や作業環境の違いにより家庭生活における作業とは異なるリスクが潜んでいることに留意すること。・社会福祉施設等で利用者の事故防止に関するヒヤリハット事例の収集に取り組んでいる場合、こうした仕組みを労働災害の防止に活用することが有効であること。・労働安全衛生マネジメントシステムを導入している事業場においては、労働安全衛生方針の中に、例えば「年齢にかかわらず健康に安心して働ける」等の内容を盛り込んで取り組むこと。2 職場環境の改善(1)身体機能の低下を補う設備・装置の導入(主としてハード面の対策)身体機能が低下した高年齢労働者であっても安全に働き続けることができるよう、事業場の施設、設備、装置等の改善を検討し、必要な対策を講じること。その際、以下に掲げる対策の例を参考に、高年齢労働者の特性やリスクの程度を勘案し、事業場の実情に応じた優先順位をつけて施設、設備、装置等の改善に取り組むこと。〈共通的な事項〉・視力や明暗の差への対応力が低下することを前提に、通路を含めた作業場所の照度を確保するとともに、照度が極端に変化する場所や作業の解消を図ること。・階段には手すりを設け、可能な限り通路の段差を解消すること。・床や通路の滑りやすい箇所に防滑素材(床材や階段用シート)を採用すること。また、滑り※ 別添1については、厚生労働省ホームページよりご確認ください

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