エルダー2020年7月号
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労務資料エルダー53やすい箇所で作業する労働者に防ぼう滑かつ靴ぐつを利用させること。併せて、滑りの原因となる水分・油分を放置せずに、こまめに清掃すること。・墜落制止用器具、保護具等の着用を徹底すること。・やむをえず、段差や滑りやすい箇所等の危険箇所を解消することができない場合には、安全標識等の掲示により注意喚起を行うこと。〈危険を知らせるための視聴覚に関する対応〉・警報音等は、年齢によらず聞き取りやすい中低音域の音を採用する、音源の向きを適切に設定する、指向性スピーカーを用いる等の工夫をすること。・作業場内で定常的に発生する騒音(背景騒音)の低減に努めること。・有効視野を考慮した警告・注意機器(パトライト等)を採用すること。〈暑熱な環境への対応〉・涼しい休憩場所を整備すること。・保熱しやすい服装は避け、通気性の良い服装を準備すること。・熱中症の初期症状を把握できるウェアラブルデバイス等のIoT機器を利用すること。〈重量物取扱いへの対応〉・補助機器等の導入により、人力取扱重量を抑制すること。・不自然な作業姿勢を解消するために、作業台の高さや作業対象物の配置を改善すること。・身体機能を補助する機器(パワーアシストスーツ等)を導入すること。〈介護作業等への対応〉・リフト、スライディングシート等の導入により、抱え上げ作業を抑制すること。・労働者の腰部負担を軽減するための移乗支援機器等を活用すること。〈情報機器作業への対応〉・パソコン等を用いた情報機器作業では、「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月12日付け基発0712第3号厚生労働省労働基準局長通知)に基づき、照明、画面における文字サイズの調整、必要な眼鏡の使用等によって適切な視環境や作業方法を確保すること。(2)高年齢労働者の特性を考慮した作業管理(主としてソフト面の対策)敏びん捷しょう性せいや持久性、筋力といった体力の低下等の高年齢労働者の特性を考慮して、作業内容等の見直しを検討し、実施すること。その際、以下に掲げる対策の例を参考に、高年齢労働者の特性やリスクの程度を勘案し、事業場の実情に応じた優先順位をつけて対策に取り組むこと。〈共通的な事項〉・事業場の状況に応じて、勤務形態や勤務時間を工夫することで高年齢労働者が就労しやすくすること(短時間勤務、隔日勤務、交替制勤務等)。・高年齢労働者の特性を踏まえ、ゆとりのある作業スピード、無理のない作業姿勢等に配慮した作業マニュアルを策定し、又は改定すること。・注意力や集中力を必要とする作業について作業時間を考慮すること。・注意力や判断力の低下による災害を避けるため、複数の作業を同時進行させる場合の負担や優先順位の判断を伴うような作業に係る負担を考慮すること。・腰部に過度の負担がかかる作業に係る作業方法については、重量物の小口化、取扱回数の減少等の改善を図ること。・身体的な負担の大きな作業では、定期的な休憩の導入や作業休止時間の運用を図ること。〈暑熱作業への対応〉・一般に、年齢とともに暑い環境に対処しにくくなることを考慮し、脱水症状を生じさせないよう意識的な水分補給を推奨すること。・健康診断結果を踏まえた対応はもとより、管理者を通じて始業時の体調確認を行い、体調不良時に速やかに申し出るよう日常的に指導すること。・熱中症の初期対応が遅れ重篤化につながることがないよう、病院への搬送や救急隊の要請を的確に行う体制を整備すること。〈情報機器作業への対応〉・情報機器作業が過度に長時間にわたり行われることのないようにし、作業休止時間を適切に設けること。・データ入力作業等相当程度拘束性がある作業においては、個々の労働者の特性に配慮した無理のない業務量とすること。

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