エルダー2020年7月号
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2020.7543 高年齢労働者の健康や体力の状況の把握(1)健康状況の把握労働安全衛生法で定める雇入時及び定期の健康診断を確実に実施すること。その他、以下に掲げる例を参考に、高年齢労働者が自らの健康状況を把握できるような取組を実施することが望ましいこと。〈取組例〉・労働安全衛生法で定める健康診断の対象にならない者が、地域の健康診断等(特定健康診査等)の受診を希望する場合は、必要な勤務時間の変更や休暇の取得について柔軟な対応をすること。・労働安全衛生法で定める健康診断の対象にならない者に対して、事業場の実情に応じて、健康診断を実施するよう努めること。・健康診断の結果について、産業医、保健師等に相談できる環境を整備すること。・健康診断の結果を高年齢労働者に通知するに当たり、産業保健スタッフから健康診断項目毎の結果の意味を丁寧に説明する等、高年齢労働者が自らの健康状況を理解できるようにすること。・日常的なかかわりの中で、高年齢労働者の健康状況等に気を配ること。(2)体力の状況の把握高年齢労働者の労働災害を防止する観点から、事業者、高年齢労働者双方が当該高年齢労働者の体力の状況を客観的に把握し、事業者はその体力に合った作業に従事させるとともに、高年齢労働者が自らの身体機能の維持向上に取り組めるよう、主に高年齢労働者を対象とした体力チェックを継続的に行うことが望ましいこと。体力チェックの対象となる労働者から理解が得られるよう、わかりやすく丁寧に体力チェックの目的を説明するとともに、事業場における方針を示し、運用の途中で適宜当該方針を見直すこと。具体的な体力チェックの方法として次のようなものが挙げられること。・労働者の気付きを促すため、加齢による心身の衰えのチェック項目(フレイルチェック)等を導入すること。・厚生労働省作成の「転倒等リスク評価セルフチェック票」(別添2)※等を活用すること。・事業場の働き方や作業ルールにあわせた体力チェックを実施すること。この場合、安全作業に必要な体力について定量的に測定する手法及び評価基準は安全衛生委員会等の審議を踏まえてルール化することが望ましいこと。体力チェックの実施に当たっては、以下の点を考慮すること。・体力チェックの評価基準を設けない場合は、体力チェックを高年齢労働者の気付きにつなげるとともに、業務に従事する上で考慮すべきことを検討する際に活用することが考えられること。・体力チェックの評価基準を設ける場合は、合理的な水準に設定し、職場環境の改善や高年齢労働者の体力の向上に取り組むことが必要であること。・作業を行う労働者の体力に幅があることを前提とし、安全に行うために必要な体力の水準に満たない労働者がいる場合は、当該労働者の体力でも安全に作業できるよう職場環境の改善に取り組むとともに、当該労働者も作業に必要な体力の維持向上に取り組む必要があること。・高年齢労働者が病気や怪我による休業から復帰する際、休業前の体力チェックの結果を休業後のものと比較することは、体力の状況等の客観的な把握、体力の維持向上への意欲や作業への注意力の高まりにつながり、有用であること。(3)健康や体力の状況に関する情報の取扱い健康情報等を取り扱う際には、「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成30年9月7日労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱い指針公示第1号)を踏まえた対応をしなければならないことに留意すること。また、労働者の体力の状況の把握に当たっては、個々の労働者に対する不利益な取扱いを防ぐため、労働者自身の同意の取得方法や労働者の体力の状況に関する情報の取扱方法等の事業場内手続について安全衛生委員会等の場を活用して定める必要があること。例えば、労働者の健康や体力の状況に関する医師等の意見を安全衛生委員会等に報告する場※ 別添2については、厚生労働省ホームページよりご確認ください

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