エルダー2020年7月号
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労務資料エルダー55合等に、労働者個人が特定されないよう医師等の意見を集約又は加工する必要があること。4 高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応(1)個々の高年齢労働者の健康や体力の状況を踏まえた措置健康や体力の状況を踏まえて必要に応じ就業上の措置を講じること。脳・心臓疾患が起こる確率は加齢にしたがって徐々に増加するとされており、高年齢労働者については基礎疾患の罹患状況を踏まえ、労働時間の短縮や深夜業の回数の減少、作業の転換等の措置を講じること。就業上の措置を講じるに当たっては、以下の点を考慮すること。・健康診断や体力チェック等の結果、当該高年齢労働者の労働時間や作業内容を見直す必要がある場合は、産業医等の意見を聴いて実施すること。・業務の軽減等の就業上の措置を実施する場合は、高年齢労働者に状況を確認して、十分な話合いを通じて当該高年齢労働者の了解が得られるよう努めること。また、健康管理部門と人事労務管理部門との連携にも留意すること。(2)高年齢労働者の状況に応じた業務の提供高齢者に適切な就労の場を提供するため、職場における一定の働き方のルールを構築するよう努めること。労働者の健康や体力の状況は高齢になるほど個人差が拡大するとされており、個々の労働者の健康や体力の状況に応じて、安全と健康の点で適合する業務を高年齢労働者とマッチングさせるよう努めること。個々の労働者の状況に応じた対応を行う際には、以下の点を考慮すること。・業種特有の就労環境に起因する労働災害があることや、労働時間の状況や作業内容により、個々の労働者の心身にかかる負荷が異なることに留意すること。・危険有害業務を伴う労働災害リスクの高い製造業、建設業、運輸業等の労働環境と、第三次産業等の労働環境とでは、必要とされる身体機能等に違いがあることに留意すること。例えば、運輸業等においては、運転適性の確認を重点的に行うこと等が考えられること。・何らかの疾病を抱えながらも働き続けることを希望する高年齢労働者の治療と仕事の両立を考慮すること。・複数の労働者で業務を分けあう、いわゆるワークシェアリングを行うことにより、高年齢労働者自身の健康や体力の状況や働き方のニーズに対応することも考えられること。(3)心身両面にわたる健康保持増進措置「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」(昭和63年9月1日健康保持増進のための指針公示第1号)に基づき、事業場における健康保持増進対策の推進体制の確立を図る等組織的に労働者の健康づくりに取り組むよう努めること。集団及び個々の高年齢労働者を対象として、身体機能の維持向上のための取組を実施することが望ましいこと。常時50人以上の労働者を使用する事業者は、対象の高年齢労働者に対してストレスチェックを確実に実施するとともに、ストレスチェックの集団分析を通じた職場環境の改善等のメンタルヘルス対策に取り組むこと。併せて、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(平成18年3月31日健康保持増進のための指針公示第3号)に基づき、メンタルヘルス対策に取り組むよう努めること。これらの事項を実施するに当たっては、以下に掲げる対策の例を参考に、リスクの程度を勘案し、事業場の実情に応じた優先順位をつけて取り組むこと。・健康診断や体力チェックの結果等に基づき、必要に応じて運動指導や栄養指導、保健指導、メンタルヘルスケアを実施すること。・フレイルやロコモティブシンドロームの予防を意識した健康づくり活動を実施すること。・身体機能の低下が認められる高年齢労働者については、身体機能の維持向上のための支援を行うことが望ましいこと。例えば、運動する時間や場所への配慮、トレーニング機器の配置等の支援が考えられる。・保健師や専門的な知識を有するトレーナー等の指導の下で高年齢労働者が身体機能の維持向上に継続的に取り組むことを支援すること。・労働者の健康管理を経営的視点から考え、戦

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