エルダー2020年7月号
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2020.756略的に実践する健康経営の観点から企業が労働者の健康づくり等に取り組むこと。・保険者と企業が連携して労働者の健康づくりを効果的・効率的に実行するコラボヘルスの観点から職域単位の健康保険組合が健康づくりを実施する場合には、連携・共同して取り組むこと。5 安全衛生教育(1)高年齢労働者に対する教育労働安全衛生法で定める雇入れ時等の安全衛生教育、一定の危険有害業務において必要となる技能講習や特別教育を確実に行うこと。高年齢労働者を対象とした教育においては、作業内容とそのリスクについての理解を得やすくするため、十分な時間をかけ、写真や図、映像等の文字以外の情報も活用すること。中でも、高年齢労働者が、再雇用や再就職等により経験のない業種や業務に従事する場合には、特に丁寧な教育訓練を行うこと。併せて、加齢に伴う健康や体力の状況の低下や個人差の拡大を踏まえ、以下の点を考慮して安全衛生教育を計画的に行い、その定着を図ることが望ましいこと。・高年齢労働者が自らの身体機能の低下が労働災害リスクにつながることを自覚し、体力維持や生活習慣の改善の必要性を理解することが重要であること。・高年齢労働者が働き方や作業ルールにあわせた体力チェックの実施を通じ、自らの身体機能の客観的な認識の必要性を理解することが重要であること。・高年齢労働者にみられる転倒災害は危険に感じられない場所で発生していることも多いため、安全標識や危険箇所の掲示に留意するとともに、わずかな段差等の周りの環境にも常に注意を払うよう意識付けをすること。・高年齢労働者に対して、サービス業の多くでみられる軽作業や危険と認識されていない作業であっても、災害に至る可能性があることを周知すること。・勤務シフト等から集合研修の実施が困難な事業場においては、視聴覚教材を活用した教育も有効であること。・危険予知トレーニング(KYT)を通じた危険感受性の向上教育や、VR技術を活用した危険体感教育の活用も考えられること。・介護を含むサービス業ではコミュニケーション等の対人面のスキルの教育も労働者の健康の維持に効果的であると考えられること。・IT機器に詳しい若年労働者と現場で培った経験を持つ高年齢労働者がチームで働く機会の積極的設定等を通じ、相互の知識経験の活用を図ること。(2)管理監督者等に対する教育事業場内で教育を行う者や当該高年齢労働者が従事する業務の管理監督者、高年齢労働者と共に働く各年代の労働者に対しても、高年齢労働者に特有の特徴と高年齢労働者に対する安全衛生対策についての教育を行うことが望ましいこと。この際、高齢者労働災害防止対策の具体的内容の理解に資するよう、高年齢労働者を支援する機器や装具に触れる機会を設けることが望ましいこと。事業場内で教育を行う者や高年齢労働者が従事する業務の管理監督者に対しての教育内容は以下の点が考えられること。・加齢に伴う労働災害リスクの増大への対策についての教育・管理監督者の責任、労働者の健康問題が経営に及ぼすリスクについての教育また、こうした要素を労働者が主体的に取り組む健康づくりとともに体系的キャリア教育の中に位置付けることも考えられること。併せて、高年齢労働者が脳・心臓疾患を発症する等緊急の対応が必要な状況が発生した場合に、適切な対応をとることができるよう、職場において救命講習や緊急時対応の教育を行うことが望ましいこと。第3 労働者に求められる事項生涯にわたり健康で長く活躍できるようにするために、一人ひとりの労働者は、事業者が実施する取組に協力するとともに、自己の健康を守るための努力の重要性を理解し、自らの健康づくりに積極的に取り組むことが必要である。また、個々の労働者が、自らの身体機能の変化が労働災害リスクにつながり得ることを理解し、労使の協力の下、以下の取組を実情に応じ

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