エルダー2020年7月号
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労務資料エルダー57て進めることが必要である。・高年齢労働者が自らの身体機能や健康状況を客観的に把握し、健康や体力の維持管理に努めること。なお、高齢になってから始めるのではなく、青年、壮年期から取り組むことが重要であること。・事業者が行う労働安全衛生法で定める定期健康診断を必ず受けるとともに、短時間勤務等で当該健康診断の対象とならない場合には、地域保健や保険者が行う特定健康診査等を受けるよう努めること。・事業者が体力チェック等を行う場合には、これに参加し、自身の体力の水準について確認し、気付きを得ること。・日ごろから足腰を中心とした柔軟性や筋力を高めるためのストレッチや軽いスクワット運動等を取り入れ、基礎的な体力の維持と生活習慣の改善に取り組むこと。・各事業所の目的に応じて実施されているラジオ体操や転倒予防体操等の職場体操には積極的に参加すること。また、通勤時間や休憩時間にも、簡単な運動を小まめに実施したり、自ら効果的と考える運動等を積極的に取り入れること。・適正体重を維持する、栄養バランスの良い食事をとる等、食習慣や食行動の改善に取り組むこと。・青年、壮年期から健康に関する情報に関心を持ち、健康や医療に関する情報を入手、理解、評価、活用できる能力(ヘルスリテラシー)の向上に努めること。第4 国、関係団体等による支援の活用事業者は、第2の事項に取り組むに当たり、以下に掲げる国、関係団体等による支援策を効果的に活用することが望ましいこと。(1)中小企業や第三次産業における高齢者労働災害防止対策の取組事例の活用厚生労働省、労働災害防止団体及び独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「JEED」という。)のホームページ等で提供されている中小企業や第三次産業を含む多くの事業場における高齢者労働災害防止対策の積極的な取組事例を参考にすること。(2)個別事業場に対するコンサルティング等の活用中央労働災害防止団体や業種別労働災害防止団体等の関係団体では、JEED等の関係機関と協力して、安全管理士や労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント等の専門家による個別事業場の現場の診断と助言を行っているので、これらの支援を活用すること。また、健康管理に関しては、健安機構の産業保健総合支援センターにおいて、医師、保健師、衛生管理者等の産業保健スタッフに対する研修を実施するとともに、事業場の産業保健スタッフからの相談に応じており、労働者数50人未満の小規模事業場に対しては、地域産業保健センターにおいて産業保健サービスを提供しているので、これらの支援を活用すること。(3)エイジフレンドリー補助金等の活用高年齢労働者が安心して安全に働く職場環境の整備に意欲のある中小企業における取組を支援するため、厚生労働省で実施する補助制度(エイジフレンドリー補助金等)を活用して、職場環境の改善を図ること。(4)社会的評価を高める仕組みの活用厚生労働省では、高年齢労働者のための職場環境の改善の取組を評価項目として考慮した労働災害防止に係る表彰、好事例コンクール等を実施し、高齢者労働災害防止対策に積極的に取り組む事業場の社会的評価の向上に取り組んでいることから、これらを活用すること。(5)職域保健と地域保健の連携及び健康保険の保険者との連携の仕組みの活用職域保健と地域保健との連携を強化するため、各地域において地域・職域連携推進協議会が設置され、地域の課題や実情に応じた連携が進められているところである。また、健康保険組合等の保険者と企業が連携して労働者の健康づくりを推進する取組も行われている。具体的には、保険者による事業者に対する支援策等の情報提供や、保健所等の保健師や管理栄養士等の専門職が、事業場と協働して、事業協同組合等が実施する研修やセミナーで、地域の中小事業者に対して職場における健康づくりや生活習慣改善について講話や保健指導を実施するといった取組が行われており、これらの支援を活用すること。

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