エルダー2020年7月号
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2020.76240年以上にわたり帆布製品の縫製にたずさわってきた二人。経験に裏打ちされた正確な縫製技術は、精密機器を製造する大手メーカーも信頼を寄せるどまで、幅広く利用されている。戦後、日暮里で創業した同社は、帆布生地の卸おろしからスタートし、やがてシートなどの縫製も手がけるようになる。1970年代になると、シート類の受注が減少する一方、アパレルメーカーの注文を受けてトートバッグの製作を開始。そして、約10年前に「品質のよい帆布製品をつくり、リーズナブルに提供したい」との思いから、自社ブランドを立ち上げ、オリジナルのトートバッグの製作・販売を行っている。縫製精度の高さが評価され大手メーカーからも受注3代目にあたる代表取締役の茂木克夫さんと弟で専務取締役の茂木郁治さんは、40年以上にわたり帆布の世界にたずさわってきた。「初めは生地の卸が中心でしたが、付加価値をつけるために縫製も自分たちで行うようになりました。必要な技術は当時雇っていた職人さんや、取引先の工場などに出向いて勉強しながら身につけていきました」二人は長年にわたりさまざまな帆布製品を扱うなかで、縫製技術を高めてきた。工房には約30種類のミシンがあり、生地の厚さや縫う位置など、用途に応じて巧みに使い分けることで、高品質の製品を生み出している。縫製技術の精度の高さは大手メーカーからも評価され、航空機や耐震装置などに用いられる資材も受注している。こうした資材は、寸法など品質に対する厳しいチェックが入るが、ある資材では、過去に何十万枚と生産してきたなかで、問題があったのはわずか一枚。しかもそれは縫製の問題ではなく、支給された原材料に汚れがあったためだという。こうしたものづくりへの姿勢は、トートバッグに対しても変わらない。5年前から始めたワークショッワークショップの原点は、ものづくりの体験を通してお客さまに喜んでいただくこと。それはわれわれにとっての喜びでもあります

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