エルダー2020年7月号
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エルダー63「われわれは元々商売人であり、後から技術を身につけてものづくりをするようになりました。それだけに、帆布にはこだわりつつも、時代の変化に合わせて商売を変化させて危機を乗り越えてきました。ワークショップを実現できたのも、商売人だからかもしれません。何よりもお客さまに喜ばれることを第一に取り組んでいます」現在は、郁治さんの長男の宏之さんが中心となって製造と販売を行っており、二人はサポート役に徹している。取材で訪れた日も、初めて生地を買いに来たお客さんに対して、宏之さんがつくり手の視点からていねいにアドバイスを行っていた。商売人と職人の両面から、帆布の魅力やものづくりの喜びを多くの人に伝えたいという二人の思いは、着実に受け継がれているようだ。株式会社茂木商工https://www.mogi-shoko.co.jp(撮影・福田栄夫/取材・増田忠英)プは、毎週土曜日に4回、平日に2回開催している※。定員は1回につき4名だが、毎回応募者数が定員を上回り、抽選を行うほど。人気の理由は、工業用ミシンなどプロの道具を使えることに加えて、ベテラン職人のサポートを受けながら、完成度の高いバッグをつくって持ち帰ることができるところである。「われわれの方で裁断などの下準備を行い、ミシンを使ったことのない方でもしっかりサポートします。バッグができあがると、みなさんとても喜ばれ、われわれもうれしいです。また、エンドユーザーと触れ合うことは、製品をつくるうえで勉強になります」商売人の視点でフレキシブルに対応同社の強みについて聞くと、二人は口を揃えて「フレキシブルに対応できること」だと話す。※ 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で6月19日現在は休止中現在は郁治さんの長男、宏之さん(右)が製造・販売の中核をになう工業用ミシンを使い、最も太いゼロ番の糸で厚い生地を重ねて縫っているところ。経験が求められる技術の一つ工房には約30種類のミシンがあり、用途に応じて使い分ける。ワークショップもこの工房でプロの道具を使って行われるワークショップで製作するトートバッグの見本。プロのアシストで完成度の高いバッグをつくることができるオリジナルブランド「BLUE SWALLOW(ブルースワロー)」のタグ厚手の生地が重なる部分の縫製には、工業用ミシンが不可欠

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