エルダー2020年8月号
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失敗の原因は職場の社員構成の変化に対する会社の現役管理職への支援不足「年下上司・年上部下」は多様化が進む職場の社員構成の一つの事象トラブルの要因また管理職研修においてもこうした職場を前提にしたマネジメントの方法やリーダーシップなどの研修が行われ、管理職はマネジメントスキルを習得していました。ように、職場には現役管理職より年上の高齢社員が、ほかの現役社員と一緒にデスクを並べて働くことがいまでは日常の光景となってきました。現役管理職は、元上司あるいは先輩社員である高齢社員への気兼ねから、現役社員の部下に対してと同様に仕事の指示を出したり、管理職時代の意識が抜けない高齢社員の行動を直すよう指導したりすることを躊■■躇ってしまいます。こうした状況に対して、会社は職場の社員構成の変化に対応して管理職研修などの能力開発を見直すなど、現役管理職を支援しなければならないのですが、それらが適切に行われておらず、現役管理職にそのしわ寄せがきています。こうした状況が続くと職場が混乱・疲弊してしまい、人間関係がギクシャクしてしまいます。上司と年上部下だけではありません。さらに複雑です。その概要を整理した図表2を見てください。職場の社員構成を「性差」、「国籍」、「採用経路」、「管理職からみた部下の年齢」、「勤務形態」の各視点から見ると、これまでは、ほとしかし、マンガに登場する職場の社員構成のこの職場の日常的な光景の変化は、単に年下マンガに出てくるJEEDシステム株式会社営業部の長尾さんは、1年前まで営業部長を務めていましたが、60歳の定年を機に役職を外れ、そのまま営業部で働いています。しかし、再雇用になったいまも気分は営業部長。現在の営業部長である相馬さんをさしおいて指示を出すなど、立場をわきまえない振舞いが目立ち、若手社員の不満も溜まってきているようです。マンガに登場するように、現役管理職の上司と元管理職の高齢社員が同じ職場で働いている状況は近年、増えつつあります。その背景には、解説1と解説2で紹介している役職定年制の普及と定年後の継続雇用などで働く高齢社員の増加があります。こうした状況が増える以前の職場における総合職の社員構成(以下、「職場の社員構成」)は、管理職が「勤続年数の長い年上の社員」で、部下は「勤続年数の短い年下の社員」が一般的でした(図表1)。そして、管理職は定年になると職業人生を終えて自分の趣味や家族の介護などのセカンドキャリアを歩む人が多かったので、定年後も継続雇用などで働く高齢社員は現在と比べて少数でした。このような状況のもとでは、上司・部下の関係(勤続年数の長い年上/勤続年数の短い年下)ははっきりしており、上司(管理職)部下これまで年上(勤続年数:長い)年下(勤続年数:短い)現在年下(元部下)年上(元上司)21※筆者作成■エルダー特集新任人事担当者のための高齢者雇用入門図表1 職場の「上司・部下」の関係の変化

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