エルダー2020年8月号
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職場の社員構成の多様化に対する現役管理職支援を考える++んど日本人の職場で同性が多く、採用は新卒者中心、部下は管理職より年下、勤務形態はフルタイム勤務といった同質性の高い構成でした。こうしたなかで、年上上司・年下部下に代表される同質性の高い社員構成をもとにした職場マネジメントや管理職研修などの能力開発が行われていました。しかし、少子高齢化の進展をはじめ、女性の社会進出と働き方の多様化、経済活動のグローバル化など、企業を取り巻く経営環境は大きく変わりました。その結果、職場は同性中心から同性・異性混合へ、日本人社員に外国人社員が加わる構成へ、新卒者中心の採用経路に中途採用者が加わる構成へ、管理職は年下部下に加え年上部下もマネジメントするようになる、フルタイム勤務に短時間勤務が加わる勤務形態の多様化が進む、といった変化が起こりました。つまり、社員構成はこれまでの同質性の高い構成から多様性のある構成へと変わりつつあります。今回のテーマである「年下上司・年上部下」問題は、こうした職場の社員構成の多様化の一つの事象なのです。(1) 現役管理職の年下上司だけではなく、職場の社員全員にまで影響このように職場の社員構成が多様化しつつあるにもかかわらず、職場マネジメントや管理職研修などの能力開発は、これまでの同質性の高い社員構成を前提にしたままでした。現役管理職は管理職研修で身につけた従来のマネジメントスキルをもとに職場マネジメントを行っているため、今回の悩みの種である自分より知識や経験、スキルを持つ年上部下への適切な指示の出し方、指導の仕方がわからず困惑しているのではないでしょうか。があります。高齢社員も現役管理職と同じ境遇でしたので、仕事の指示や指導を受けるのは年上の管理職や先輩社員からしかなく、年下の管理職から受ける経験はありませんでした。定年や役職定年によって管理職を離れ、一般社員等になったことを頭では理解しても、その心構えと意識の切り替えが十分にできずに管理職の意識が残ってしまい、仕事や職責の変化、新しい役割などにうまく適応できないのです。そのため、マンガに登場する元管理職の高齢社員のように、職場の一般社員と同じ目線に立てずに管理職として振る舞ってしまい、年下の現役管理職や職場の年下同僚を困らせているのではないでしょうか。員も同じ状況です。これまで上司だったり、先輩社員だったりした高齢社員が同僚として机を並べて仕事をするようになったので、どのように接したり、どうコミュニケーションを取ったまた、年上部下の高齢社員にも悩みや戸惑いさらに、高齢社員と机を並べる職場の現役社これまで同性中心新卒者中心フルタイム勤務高い同質性同性・異性混合日本人新卒・中途併用年下フルタイム勤務日本人外国人年下・年上短時間勤務多様化現在2020.822※筆者作成図表2 職場の社員構成の変化性差国籍採用経路管理職からみた部下の年齢勤務形態社員構成の特徴

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