りしたらいいかわからず戸惑ってしまいます。このように職場の社員構成の変化によって現役管理職だけではなく、職場の社員全員が困惑しています。(2)現役管理職の能力開発こうした課題に対してどのように取り組んでいけばよいでしょうか。先に紹介したように、職場の社員構成の変化に対応して職場マネジメントや管理職などの能力開発を見直すことが求められます。職場マネジメントは、多様な社員が働くことを前提としたものにして、能力開発については、現役管理職の年下上司、年上部下の高齢社員、職場の現役社員のそれぞれに対する支援が必要です。高齢社員に対するおもな支援はキャリア教育などであり、詳しくは解説2を参照してください。現役管理職の能力開発については、部下への仕事の指示の出し方や指導の仕方があげられます。管理職は、組織上の地位(管理職)とそれに付与されている権限と責任に基づいて、部下に仕事の指示を出したり、指導をしたりしています。一般に、年下部下にとって年上上司は、組織上の地位(管理職)の関係に加えて、社会的地位(年齢)が上位(年上)であり、勤続年数などの職業人生の経験値が自分よりも高い存在です。そのため、管理職という組織上の地位という(上位からの)目線が含まれる仕事の指示・指導には違和感を抱きませんが、年上部下の高齢社員にとっては、社会的地位や職業人生の経験値が逆転するため、管理職という組織上の地位という(上位)目線が含まれる仕事の指示・指導には戸惑いや、時に反発が生まれてしまいます。また、年下管理職は、これまで年下部下にしか仕事の指示・指導を出した経験しかないため、年上部下への仕事の指示の出し方や指導の仕方に悩んでしまうのです。そのため、管理職研修における年上部下への仕事の指示の出し方や指導の仕方を身につける研修が必要になります。また、高齢社員と同僚になる現役社員に対しても、現役管理職と同じように高齢社員への接し方、コミュニケーションの取り方などの能力開発を行うことが必要になります。こうした現役管理職支援の事例としてC社の取組みを紹介します。この事例の特徴は当機構が実施している企業における中高年齢従業員・職場の活性化を支援する「就業意識向上研修」を活用して中間管理職の管理職研修を実施している点です。「年上部下との接し方」は、高齢社員との関係づガラスメーカーのC社は、30代後半から40代を中心とする中間管理職(現場では組長・職長、事務系では課長代理クラス)を対象とした管理職研修を、当機構の「就業意識向上研修(生涯現役職場管理者研修)」を活用して実施しました。研修では、管理職としての基本的なマネジメント方法などのほかに、高齢社員を戦力として活用するための管理スキルの習得が行われました。例えば、くりの仕方、チェックリストを使った高齢社員とのコミュニケーションの取り方などの実践的な内容を取り入れています。C社の事例: 中間管理職の意識改革を目的とした管理職研修を実施生涯現役職場管理者研修(基礎編)生涯現役マネジメント研修(展開編)生涯現役ライフプラン研修(基礎編)生涯現役エキスパート研修(展開編)出典: (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(2019)23『エルダー』2019年7月号をもとに作成エルダー特集新任人事担当者のための高齢者雇用入門就業意識向上研修の全体像職場管理者研修中高年齢従業員研修
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