エルダー2020年8月号
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美談だった光秀の汁鍋家■引きこもり)・外出自粛〟を続■■■■■■今回の新型コロナウイルス感染防止のための〝ステイホーム(おけているうちに、水戸黄門の〝汁鍋奨励〟を思い出した。黄門というのは古代中国の唐という国の、「中■納■言■(権も含まれる)」の位の別称だ。水戸黄門は水戸徳川二代目の藩主だが、領国の常■■陸(茨城県)は、源頼朝に重用された源氏系の佐竹氏の治政が長く、拠点のあった太田地域の住民は特にかれを慕っていた。勢いその佐竹氏を逐■って新しく領主になった徳川氏には、悪感情を抱いた。二代目の光■圀■はそれをやわらげ、ほぐそうと懸命だった。いままで紹介した生母の墓や隠居所(西山荘)の設置など※のほか、今回の〝汁鍋奨励〟もその一つだ。〝汁鍋〟というのは、人々の密集地域で週あるいは月単位で「当番」を決める。当番は出汁を効かせた汁だけ用意して待つ。近隣の人々は鍋に入れる魚・野菜・獣(猪など)肉などの食材を持って参加する(鍋に入れる)。そして、時事放談(ただしツバを飛ばす大声は出さない)に耽■ける。光圀はこれを各地域に拡げ、民心の和を策■した。反徳川感情を親徳川感情に変えようとしたのだ。コストの余りかからない〝住民の意識改革〟策である。成果のほどはわからない。ただ私の知るところでは、この■■2020.838※  本誌2019年12月号掲載[第93回]

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