コロナ禍■における未規定の特別休暇の効力平常時の取扱いについて事項は、就業規則に定めなければならないと規定されています。少なくとも年次有給休暇は法律上付与しなければならない以上、この規定は絶対的必要記載事項と考えられています。同条の規定を遵守するためには、法律上必要な休暇さえ定めればよいというわけではなく、会社が任意の休暇制度を定める場合にも、必ず就業規則に定めることが必要となります。違反した場合には、是正指導を求められることが通常ですが、労働基準法第120条には、同法第89条違反に対して30万円以下の罰金に処すると定められており、就業規則に定めのない状況で特別休暇を定めた場合には、適法であるとはいえません。したがって、法定外の特別休暇を定めるためには、就業規則の変更の手続きをとる必要があり、労働者の過半数代表者からの意見聴取、従業員に対する説明会を行うなどの方法による就業規則の変更内容を周知すること、労働基準監督署への届出という一連の手続きが必要となります。なお、法定外の特別休暇の付与が、労働者の賃金の減額をともなわないなど、特段不利益を与える内容ではないような、有給の特別休暇の付与であれば、就業規則の「不利益」変更とはいえないため、変更の合理性までは求められないと考えられます。3新型コロナウイルス感染症の影響下における見解ですが、厚生労働省は、小学校休業等対応助成金に関する見解として、特別休暇の付与に関して、就業規則や社内規定の整備を行うことが望ましいが、就業規則などに規定されていない場合であっても、要件に該当する有給の休暇を付与した場合であれば、対象となる旨を示しています。当然ながら、就業規則などの整備を行うことが望ましいとはされているものの、厚生労働省の見解の背景には、実際に付与された特別休暇の効力自体を否定しないという趣旨を含むものと考えられます。したがって、就業規則に定められていない有給の特別休暇であっても、使用者が労働者に対して付与した場合には、法的には有効なものと扱うことは可能と考えられます。ただし、厚生労働省の見解においても、休暇制度を設けた場合には、遅滞なく就業規則を変更し、所轄の労働基準監督署に届け出ていただく必要がある、とされています。積極的に罰則を適用する意思があるとは思われないものの、あくまでも暫定的な措置であることを前提に、就業規則などの変更手続きは事後的にでも速やかに実施しておくことが望ましいと考えられます。4厚影響を考慮した緊急時の対応として示されたものと評価すべきであり、新型コロナウイルス感染症の影響下にないなど緊急時ではない状況下においては、罰則の可能性を拭い去れません。慮を尽くすことを希望する場合には、労働義務の免除である休暇の付与以外の方法で対応することも検討する必要があります。別休暇の付与に対して、助成金の付与が用意されたため、特別休暇によって対応することに意味がありました。ただし、このような特別な助成金のことを考慮外とするのであれば、使用者が、労働者に対して、労務の提供を拒絶する(要するに自宅待機を命じる)場合には、使用者の責に帰すべき事由があるものとして、少なくとも6割の休業手当の支払いが必要となりますが、あくまでも6割は最低基準として定められた内容といえますので、この際に10割の賃金を支給することも違法ではありません。額の支給を確保する方法としては、自宅待機命令による方法も考えられます。生労働省の見解は新型コロナウイルスのそのような状況下、使用者が労働者への配新型コロナウイルス感染症に関しては、特したがって、罰則の適用を避けながら、満53エルダー知っておきたい労働法AA&&Q
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