ビジトレ労働法務のチェックポイント今日から始めるミドルシニアのキャリア開発宮■■内■■正■■臣■■ 著/金子書房/1900円+税弘■■文■■堂■■/ 実務の技法「働き方改革」の進展にともない、労使双方にとって、労働法の存在意義が高まっているように感じられる。実際、労働法分野の法令改正は頻繁に行われており、トラブルの起きない雇用管理を実現するには、法令の正しい理解が欠かせないだろう。本書は、経験の浅い弁護士向けの企画ではあるが、企業の人事労務担当者にも、この点でたいへん役に立つと思われる。本書では、使用者側から寄せられた労働法に関する相談や事件を取り上げ、具体的なケースを設定したうえで適切な対処方法を検討している。弁護士向けとはいえ、各ケースの具体的な説明は対話形式を採用、実際に関係者に確認すべき事項をまとめたチェックリストや各ケースの解決につながる模範解答(アンサー)を掲載するなど、法律の専門家ではない人でも、容易に理解することができる。取り上げている項目も、「労働契約」、「募集・採用」、「労働時間・休憩・休日・休暇」、「賃金」、「配転・出向・転籍」、「解雇」など、人事労務担当者が直面する場面をほぼ網羅。労務トラブルのない雇用管理の実現を目ざしている人事労務担当者にとって、実務に役立つ、心強い参考書といえるだろう。シリーズ7「ミドルシニア社員の活性化施策」、「キャリア高年齢者雇用安定法が改正され、70歳就業時代が幕を開けた。働く人にとって、自らの責任でキャリア開発に取り組む時代が訪れたといえるだろう。本書は、このような考え方のもと、大学の研究者(田中氏)、企業の人材開発担当者(浅井氏)、そして、ミドルシニア社員向け研修の講師(宮内氏)がタッグを組み、70歳雇用時代に求められるキャリアの築き方をまとめたもの。「ビジトレ」とは、「ビジネス×トレーニング」のことで、「社会環境の変化に適合していくために、ビジネスシーンで必要とされるスキル・センス・マインドなどを改善していくためのキャリア開発の手法」を意味する。本書全体は、「自らキャリアを開発する自主トレセクション」、「社内研修」、「キャリア面談」、開発に関する理論の整理」の五つの章から構成されている。本誌の連載「高齢社員の磨き方」(2019〈令和元〉年10月号)で紹介したことがある、NTTコミュニケーションズ株式会社の取組み※1が詳しく取り上げられているので、本誌の読者にも大いに参考になるだろう。社員のキャリア開発に悩みを抱える、人事労務担当者が手にしても新たな発見がある好著と思われる。田中研■■之■輔■■、浅井公■■一■■、市川 充■■■、加■戸■茂■■樹■ 編著/亀田康■■次■、軽■■部■龍■■■太■郎■■、高■■仲■■幸■■雄■、町田悠■生■子■ 著/2800円+税2020.856※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「本体価格」(消費税を含まない価格)を表示します70歳雇用時代に求められる、真に必要なキャリアの築き方具体的なケースを検討し、トラブルのない雇用管理を実現
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