エルダー2020年8月号
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高齢者雇用対策を俯■瞰■しよう 藤■波■ 及及川川つつかかささ美■帆■独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構雇用推進・研究部千葉経済大学経済学部経営学科准教授 7 ■ ■■ まなびはじめ(以下、はじめ) 藤波先生、お久しぶりです。藤波先生(以下、藤波) 久しぶり、はじめさん。広報のお仕事をされているんだっけ?はじめ 4月から人事部に異動したんです。でも、わからないことだらけで⋮⋮。藤波 今日は、そのことでいらしたのかしら。はじめ そうなんです。藤波 人事部では、何を担当しているの?はじめ 高齢者の雇用対策です。来年、70歳までの就業・雇用機会の確保が、企業の努力義務になるんですよね。だから、70歳までの雇用に耐えられる人事制度を整えないといけないんです。藤波 あまり時間がないのね。はじめ 何から手をつけたらよいか、わからなくて。藤波 むずかしいわね。ちなみに、はじめさんの会社の定年は何歳なの?はじめ 60歳です。65歳までの雇用機会を設けています。藤波 そもそも、はじめさんの会社では60代前半層の人材活用は、上手くいっているの?はじめ 社員が多くて、現場の不満も大きいです。藤波 まずは、そこから始めないといけないわね。今後はもっと、60歳以降の社員が増えるから、60代前半層をきちんと活用する仕組みをつくって、企業の競争力を高めるという発想に変えましょう。はじめ 65歳以降の雇用は、これを足場に進めるということですね。藤波 その通り、はじめさん。60代前半層の社員を活用する仕組みづくりのために何をすればいいのか、一緒に考えてみましょうね。上手くいっていません。意欲が低い高齢はじめ 藤波 あたって何から着手したらよいのか、対策の内容を整理しましょう。優先順位をつけるには、全体像を知らないとね。はじめ 藤波 管理・安全管理」と「人事管理」の二つがあるの。どちらも大事な対策なのよ。はじめ 「健康管理・安全管理」分野の対策とは、“床の段差をなくす〟とか“重いものを運ばなくていいように機械を導入する〟、“社員の運動習慣をつくる〟というようなことですね。よろしくお願いします。はじめさんが“高齢者雇用〟に取り組むにはーい。企業の高齢者雇用対策には、おもに「健康この春に人事部に異動してきた、新任人事担当者のまなび はじめさんは、高齢者の雇用対策を担当することになりました。異動してきたばかりで、ただでさえ覚えることが多いのに、来年からは70歳までの就業機会の確保(高年齢者就業確保措置)が努力義務になるので、その準備も進めなければなりません。何から手をつければいいのかわからないはじめさんは、高齢者雇用に詳しい藤波美帆先生に相談をすることにしました。エルダー特集新任人事担当者のための高齢者雇用入門序 論「教えて先生、高齢者雇用って何から始めたらいいの?」

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