エルダー2020年9月号
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男女合計してもむずかしいので、高齢期に到達する前から、社会とのつながりを広げておく必要があります。そのために欠かせないのが、まさにワーク・ライフ・バランスです。30代、40代といった若い時期から、仕事以外にやりたいことをつくっていくことが重要です。働き方改革に取り組む企業が増えており、健康を害する過度な残業などの削減は不可欠ですが、働き方改革はそれが主たる目的ではありません。大事な点は二つあり、一つは多様な人材が活躍できるようにすること。「65歳を過ぎても働きたいが、週3日しか働けない」という高齢者が補助的な仕事に回されるのではなく、その人の能力を活かせる仕事を提供できるような働き方改革を実現することです。そのためには、何らかの事情を抱えた人だけでなく、すべての社員の働き方を変える必要があります。もう一つは、仕事以外に使える時間を創出するための働き方改革です。これまで、30〜40代の男性社員は、結婚して子どもがいても、週60時間以上働く人が2割近くいました。それでは、仕事以外にやりたいことを見つけることはできません。自分のために使える時間を増やし、「早く帰って家族とご飯を食べる」や、「これまですべてОJTで学んできたが、ビジネススクールで理論を学ぶ」といったことをできるようにすることが大事です。方を可能にすることです。残業時間を月40時間から20時間に半減したというような話をよく聞きますが、毎日2時間残業していたのを1時間に減らしても、生活は変わりません。1時間の残業では、ビジネススクールに間に合わないので、生活を変える観点からいうと、あまり意味のある働き方改革とはいえません。毎日定時に帰れなくても、残業ゼロの日が週に2日できると、平日にビジネススクールに通えたり、家で子どもたちと食事をしたり、ボランティア活動やサークル活動にも参加できます。30〜40代からそうした活動を行っていれば、50〜60代になるにつれて徐々にそのウエートを高め、65歳を過ぎたらそちらをメインにしていくということができます。そのためのポイントは、メリハリのある働きしかし、先ほど指摘したように、日本人男性社員の「生活改革」への支援図表 高齢者の就業国際比較性別国日本アメリカドイツスウェーデン度数合計国日本アメリカドイツスウェーデン度数合計国日本アメリカドイツスウェーデン度数合計出典: 佐藤博樹「就業及び社会活動への参加と総合生活満足度」、『平成27年度 第8回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果』(内閣府)※1 就業者:仕事をしたい※2 社会活動参加者:仕事以外にしたいことがある就業者※1社会活動参加者※2度数265503割合(%)52.7%2.4%44.9%100.0%度数198482割合(%)41.1%16.6%42.3%100.0%度数432割合(%)26.9%15.7%57.4%100.0%464割合(%)38.8%23.9%37.3%100.0%度数1881割合(%)40.4%14.4%45.2%100.0%度数2316003.5%58.0%100.0%割合(%)38.5%度数512197割合(%)38.5%16.6%44.9%100.0%度数556割合(%)20.3%18.9%60.8%100.0%536割合(%)34.7%19.2%46.1%100.0%度数2204割合(%)33.0%14.2%52.8%100.0%度数11034963.0%52.0%100.0%割合(%)45.0%度数395165994割合(%)39.7%16.6%43.7%100.0%度数988割合(%)23.2%17.5%59.3%100.0%1000割合(%)36.6%21.4%42.0%100.0%度数4085割合(%)36.4%14.3%49.3%100.0%1161801117592711131051031863147271732292143661486585その他合計226122048068248173851213488523033824711635743343458642020142020.98

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