エルダー2020年9月号
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1定柔年軟後なの勤就務業制に度関構す築るのポイント弁護士啓一郎末す2020(令和2)年1月20日に召集された第201回国会において、雇用保険法等の一部を改正する法律案が成立し、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下、「高齢法」)に、第9条に加えて、70歳までの高年齢者の就業確保措置を定めた第10条の2の規定が新設され、2021年4月1日から施行されることとなりました。この新設された義務は努力義務であり、かつ労働組合等との同意があれば、「雇用」確保措置ではなく「就業」確保措置でも足りるとするもので、事業主に対する義務としては比較的緩やかなものですが、現実にどのような行政上の運用がなされるのかについては注視しておく必要があります。また今後、高齢者雇用や就業確保措置については、さらに義務づけが強化されることも予想されるところです。加えて事業主としては、このような改正法令および行政の動向だけでなく、人生100年時代といわれる長寿社会と少子高齢化社会における労働力不足の問題について対応を迫られていることを忘れてはなりません。そして、これらの問題を考えるには、事業主の側からの視点だけでなく、就業者の側からの視点も必要です。就業者の視点で考えてみれば、まず人生100年時代においては、収入の確保により生活を安定させる必要に迫られることがあげられます。しかしそれだけではなく、定年後の長い人生をどのように充実させるかも重要な課題です。高齢法の改正により、雇用確保措置義務に代えることができる創業支援等措置が定められたのはこのような視点によるものと考えられます。みれば、問題はさらに複雑です。高齢者を取り巻く環境は新規学卒者のそれと比較すれば明らかな通り、きわめて多様性に富むものです。それまでの長い職業生活を通じ、蓄積してきた資産の状況、配偶者の就業状況、子どもの有無や人数、その就業状況などにより、収入を得るための継続的就業の必要性は大きく異なることが予想されます。また、健康状態についても、自分の問題だけではなく、親や配偶者の介護の必要性の有無、程度なども関係するため、可能な就業形態も大きく異なることが予想されます。しかしながら、就業者の視点でさらに考えてしたがって、企業が高齢者の雇用確保や就業高年齢者雇用安定法の改正定年後の雇用・就業確保措置〜就業者からの視点〜特集高齢社員のワーク・ライフ・バランスエルダー11え65歳までの高年齢者雇用確保措置を義務付ける解 説

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