エルダー2020年9月号
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4 テレワークの頻度テレワーク(特に在宅勤務)の実施頻度は、導入の段階や導入目的によって異なります。コロナ禍以前、政府は、週に1日でもいいのでテレワークを導入する企業とテレワーカーの増加を目標としていました。しかし、コロナ禍により多くの人がテレワークを経験した現在は、より高い頻度でのテレワークが求められるでしょう。頻度が低いテレワークでも、セキュリティや勤怠管理は必須となりますが、実施頻度が多くなるほど、費用負担、教育訓練、評価など、労務管理における検討項目は増加します。5 テレワーク中の業務テレワーク導入にあたって対象業務を選定する際には、まず業務の棚卸しが必要です。①業務にかかる時間、②使用する書類、③使用するシステムやツール、④セキュリティ、業務上の情報漏洩リスク、⑤関係者とのコミュニケーションを確認して、いますぐ実施できる業務とできない業務を整理します。いますぐ実施できない業務であっても、ツールの導入やルールを新たに策定することによってテレワークができる業務の幅を広げていきましょう。6 テレワークにおける時間管理テレワーク中であっても、オフィスと同様に始業終業時間の確認・記録が必要です。「職場本格導入に際してトライアルの検証により作成した就業規則(テ導入に際しては、最初から完璧なルールをつテレワークの普及は、高齢社員の働きやすさテレワーク導入をきっかけとして、働き方ののタイムカードを打刻できない」など物理的な問題については、電子メール、電話、チャットなどによる方法で代用できます。また、パソコンのログ記録、クラウドの勤怠管理ツールを利用してどこからでも打刻ができるツールを利用すると個別に報告する手間が省け、記録を共有しやすく便利です。業務に専念しているかどうかが心配で導入にふみ切れない場合は、顔認証やパソコンの画面をランダムにキャプチャできるツールなど、在席確認ができるツールを試してみるのもよいでしょう。7 就業規則とテレワーク勤務規定テレワーク導入にあたり場所が変わるだけで、労働時間や賃金を変更しない場合、就業規則の変更は不要です。しかし、切り分けのむずかしい水道光熱費などを労働者に負担させる場合や労働時間、手当の変更をする場合は、就業規則を変更する必要があります。労働時間を変更する場合も、テレワーク導入トライアル中だからといって労働基準法を免除・猶予する特例はありません。例えば、テレワーク導入を機に「フレックスタイム制」を導入しようとする場合など、緊急テレワークやトライアル中であっても就業規則を変更して届出が必要となります。また、テレワーク勤務規定を作成した場合も、すべての規定は就業規則の一部となりますので、労働者の意見を聞いて、所轄労働基準監督署への届出、周知が必要となります。8 レワーク勤務規定)やルールの周知を行うとともに、導入のための教育・研修を行います。特に高齢社員の場合、ITリテラシーが低いとテレワークに馴染まず、制度を批判的にとらえる例も多いので、必要に応じてパソコンの知識・操作のスキルアップ研修などを強化し継続的に実施します。くろうとするのではなく、相談窓口・会議・アンケートなどにより課題を抽出し、試行錯誤をくり返しながら、自社に合った制度を育てていくことが重要です。やワーク・ライフ・バランスを叶かえるだけではなく、高齢社員の能力を活かし、さらなる活躍の場を広げるチャンスでもあります。多様性を実現し、新しい時代を生き抜く企業戦略につなげていただければと願う次第です。おわりに18な

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