エルダー2020年9月号
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4充実した"シニアライフ"のつくり方株式会社オフィス・リベルタス代表取締役  大江英樹数年前から「人生100年時代」という言葉が使われるようになりました。ただ、多くの人はこの言葉は単に長寿化社会を象徴する言葉に過ぎず、実際に自分が100歳まで生きるということはあまり意識していないようです。たしかに現実の平均寿命は男性で81・4歳、女性はより︶であり、まだまだ100歳までは遠いように思えますが、これはあくまでも現在での平均寿命です。過去30年間の平均寿命の伸びを計算すると、1年あたり0・19歳ずつ延びてきています。したがって現在50歳の人がいまの平均寿命に達するころには男性の平均寿命は87・4歳、女性であれば94・6歳という計算になります。また一方で、「寿命中位数」というデータがあります。これは同じ年に生まれた人が50%生存している年齢という意味です。これで予測してみると、いまの50歳の人たちが現在の平均寿命まで生存すると仮定した31~37年後の50%生存年齢は、男性が90・4歳、女性が97・4歳となります。したがって、人生100年というのは決して大げさな数字ではないのです。このように考えていくと、60歳で定年を迎えた後の人生は「老後」でも「余生」でもなく、人生の第二ステージに入ったと考えるべきでしょう。そもそも「人生100年時代」という言葉がはやり出したきっかけは、ロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏のベストセラー﹃ライフシフト﹄︵東洋経済新報社︶からです。同書では、これから長寿社会に入ることにより、人生において何度かシフトチェンジをすべきだと主張しています。したがって60歳以後を単に「老後」と考えるのではなく、仕事や生活においてはそれまでと異なるフェーズに入ると考えるべきなのです。実際、私は60歳までサラリーマンをやっていましたが、退職した後、会社に残ることはせず、自分で新しい道を歩き始めて今日に至っています。そんな私自身の経験をふまえて、60歳以降のシフトチェンジの仕方、充実した“シニアライフ”をつくるために大切なことについてお話ししたいと思います。私は60歳からの働き方と生き方のキーワード「人生100年時代」は単なるキャッチコピーではないキーワードは「自由」特集高齢社員のワーク・ライフ・バランスエルダー2387・5歳︵厚生労働省「令和元年簡易生命表」解  説

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