エルダー2020年9月号
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飫■肥■藩などの各藩は、全部とはい夏目漱石は口の悪い作家で、『坊ちゃん』のなかでも阿■波■(徳島県)人と日向(宮崎県)人に触れている。よくは書いていない。特に日向については、教師の転勤先として〝猿の支配する国〟のような扱いをしている。日向はその国名の通り太陽に向かう明るい地域だったが、江戸時代はそれぞれ名君を出し合う小さな藩が並んでいた。延■岡■・高鍋・わないが、歴代の藩主が善政を競った。特に高鍋の秋月家では「民を豊かにすることが藩も豊かにすることである」という藩是(方針)を樹■て、歴代の藩主が工夫努力した。産業振興も目覚ましく、七代の種■茂■のときの主要産業は、年貢の米を除くと、和紙・ロウソク・炭、そして牧畜だった。成果は上がり秋月家は〝天下の3富裕大名〟の一人にあげられた。種茂の実弟が〝なせば成る〟で有名な上杉鷹■山■だ。子どものときからの賢才ぶりが評価されて養子に入ったのだ。鷹山の手腕のなかにはかなり兄と秋月家の伝統が影響している、と思う。歴代のなかにはユニークな発想をする者もいた。四代目の秋月種政はその典型だ。かれは1689(元禄2)年に藩主になり、1710(宝永7)年、53歳で隠居した。「まだお若こうございますのに」重役がとめた。が、種政は「年齢は若かろうと、21年藩主■■■■■■日■■向■■国■■は■名君ぞろい2020.934[第94回]

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