エルダー2020年9月号
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長く働き続けてほしい存在を整えていたことを知りました。「当時から条件によっては、70歳を超えての雇用もされていました。高齢になると、ご本人の健康状態に加え、ご家族の介護をするようになるなど突然の環境変化に直面する可能性が高くなりますので配慮が求められますが、同社では、70歳以上は短いスパンでご本人との面談機会をつくるといった取組みをされていることなどをお聞きし、山形支部開催のワークショップで好事例として紹介させてもらいました」(佐藤プランナー)その後、同社では高齢者雇用をさらに推進し、2018年5月、定年を70歳に引き上げ、健康状態や就業意欲を確認したうえで75歳まで継続雇用することを就業規則に定めました。同社の菅井薫専務取締役は、そのねらいと成果について次のように話します。「当社は『地域社会貢献企業を目指す』を企業理念に掲げています。そこに、『地域の高齢者の力をお借りしたい、知識や経験を当社で活かしていただきたい』との思いから、就業を希望されている元気な方を採用しています。定年を70歳にしたのは、長く安心して働いてもらいたいと考えてのことですが、健康や安全面を考慮し、75歳までの基準を設けました。また、60歳以上の方や長年勤務した会社を定年退職された方も採用しています。就業姿勢がよく、経験や知識も豊富で、人生の先輩として学ぶことが多いので、社員のよき手本となっています」今回は、そうした社員のなかから70代のお2人に話を聞きました。竹田富■雄■さん(74歳)は、建設機械を扱う会社に技術職として定年まで勤めた後、ホテルでの警備を経て、70歳のときに山形包徳に入社しました。同社のビル管理事業部に所属して、現在は温泉とプールのある地域健康増進施設で仕事をしています。担当しているのは、受付業務と、バックヤードで温泉・プールを稼働する機械の運転操作や温泉の温度管理などです。竹田さんはご自身の年齢をふまえて、現在は働くことを通して健康維持と人とのコミュニケーションを図ることを重視しており、勤務は週2〜3日、1日5時間を基本としています。「これまでの仕事経験が活かせていますし、機械に触れることが好きなので意欲的に取り組んでいます。受付業務ではお客さまと会話する機会もあり、楽しいんです。仕事は2人で担当しているので、無理なくできています。なるべく長く続けられるよう、健康のために、食事に気をつけ、体を動かすようにしています」(竹田さん)常■松■久■子■さん(75歳)は、66歳のときに入社し■■■■菅井専務は、竹田さんの働きぶりについて次のように話します。「竹田さんは技術職を長く経験され、機械の扱いに詳しいうえ、気さくな人柄で受付業務にもはつらつとして取り組んでいます。健康で働けるかぎり、当社に力を貸してもらいたいです」て、勤続9年。当初からビル管理事業部に所属し、ホテルでの清掃業務に就いています。長年、山形市内のホテルのロビーや化粧室などの共用部を清掃する業務のリーダー的存在として勤務してきました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて業務が変更となり、取材時(7月)はほ健康増進施設のバックヤードで温泉の温度管理を行う竹田富雄さん2020.938

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