エルダー2020年9月号
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「超えない・飛ばない・焦らない」努力次第で給与アップのシステムへかのホテルで週2日、1日7時間程度の勤務となっていました。「和気あいあいとした雰囲気のなか、毎日元気に働かせていただいてきました。いまは就業先が変わり、勤務日数が減っていますが、ホテルにお越しになるお客さまに気持ちよくご利用いただけるよう、そのことを第一に考えて仕事をしています」(常松さん)階段清掃では気がつくと1階から12階まで昇っていて、勤務のある日は1日1万歩も歩いているそう。仕事が元気の素になっているようです。菅井専務は、「まとめ役としても活躍してくれていますし、安心して仕事を任せられる存在」と常松さんを評価し、今後にも期待を寄せています。① 高齢者の年齢に合わせて定期的な面談を行い、② 労働災害防止のため、2019年12月より高齢③ 身体的衰えはあるものの就業意欲のある高齢社高齢者雇用に取り組むなかで、同社が特に配慮していることは、大きく次の3点です。健康状態や就業意欲、身体の衰えなどを把握しながら継続雇用の可否を決定する。社員の2m以上の高所作業(天井や窓拭き作業など)の実施を禁止とした。員については、就業日数、就業時間の軽減化や配置転換を行っている。定年70歳、75歳までの継続雇用を制度化したことにより、高齢社員の健康・安全確保が特に重要になっていると菅井専務は話します。「高齢者にはとりわけ勤勉な人が多く、がんばりすぎが事故やケガにつながってしまうことがあります。事故の防止に向けて、予防啓発活動や巡回指導などを継続していますが、自身の身体能力の低下を認識することなく、無理な作業をするケースも見受けられることから、今後も継続した指導が必要と考えています」ビル管理業の就業現場では、高さ2m以上の作業の実施を禁止としているほか、「急がば回れ」の姿勢を徹底しているそうです。「電気コードを超えようとして転倒したり、ちょっとした段差を飛んだり、焦ったりするとケガをしがちです。最近は、『超えない・飛ばない・焦らない』の三つをみんなに覚えてもらうように努めています」(菅井専務)同社では現在、従来の職能給を基準とした給与体系の見直しを図り、来年度から職務給を中心にした新たな体系とするための整備を進めています。全社員に適用する予定で、60歳以降であっても、ビル管理に関する資格を取得するなど、本人の努力次第で年齢にかかわりなく給料アップが可能となる給与体系の構築を目ざしています。「この改革と同時に、前述した労働災害の防止、社員の健康対策がより重要になると考え、これらについても新たな基準づくりを検討したいと思っています。佐藤プランナーからまた、アドバイスをいただければありがたいです」(菅井専務)佐藤プランナーは、「同社のきめ細かな配慮のある高齢者雇用の取組みを高く評価するとともに、今後も支援を続けていきたい」と語りました。(取材・増山美智子)お客さまのことを第一に考えて、ホテル共用部の清掃に励む常松久子さん エルダー39

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