エルダー2020年9月号
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高齢社員の第3回 いま の 学習院大学名誉教授学習院さくらアカデミー長 今野浩一郎 高齢者雇用を推進するうえで重要な課題となるのが高齢社員の賃金制度です。豊富な知識や経験を持つ高齢社員に戦力として活躍してもらうためには、高齢社員の能力や貢献を適切に評価・処遇し、高いモチベーションを持って働いてもらうことが不可欠となります。本連載では、高齢社員戦力化のための賃金戦略について、今野浩一郎氏が解説します。はじめに〜なぜ基礎理論が必要か〜賃金決定の基礎理論ことが必要」の視点に立って、活用戦略を検討1前回は、「賃金の前に活用戦略を明確にするするにあたって注意すべきことを説明しました。そこで、これからは賃金をどう設計するかを考えることにします。今回はその第一歩として、賃金を設計する際に準拠すべき「賃金決定の基礎理論」について説明したいと思います。基礎理論というとむずかしく聞こえますが、賃金を合理的に設計するにあたって採るべき考え方や手順のことです。高齢社員の活用戦略は企業によってさまざまなので、それに対応する「あるべき賃金」の具体的な形態もさまざまです。しかし基礎理論はそれを超えてどの企業でも活用できます。例えば以下のような場合に頼りになります。高齢社員の賃金は基礎理論からすると応用問題の一つです。ですので、基礎理論を学習しておけば、高齢社員の賃金をどう設計すべきかをの賃金なのか」を高齢社員に説明する力がつき体系的に理解することができますし、経営状況が変わり「あるべき賃金」が変わっても対応できるようになります。それに対して、基礎理論を学習することなく賃金を設計すると、設計された賃金が合理的であるのか、合理的でないとすると何に問題があるのかを見極めることがむずかしくなります。さらに、基礎理論を学習すると、「なぜ、そます。連載の第1回※でも説明したように、正社員と非正社員の不合理な待遇差の是正を求めJEED エルダー 2020年7月号検索2020.940※ 2020年7月号に掲載

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