エルダー2020年9月号
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今回で連載4回目となります。第2回「定年」、第3回「退職金」と、60歳以降に大きくかかわるものを取り上げてきましたが、今回は少し視野を広げて職業人生や働き方全般にかかわる「キャリア」と、関連する用語について解説していきます。「キャリア」という用語は、さまざまな場面で目にする機会が多い用語です。ただしあらためて定義を問われると、なかなか明確には答えにくい用語の一つだと思います。インターネットなどを見てもさまざまな定義が出てきます。少し古い資料ですが、2002(平成14)年に厚生労働省が発表した「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書というものがあります。ここではキャリアを一般に「経歴」、「経験」、「発展」さらには、「関連した職務の連鎖」などと表現し、「時間的持続性ないし継続性を持った概念」と定義しています。少々回りくどい表現になっていますが、端的には「職務や関連する活動による経験」といえるでしょう。ポイントは報告書の定義にあるように時間的な継続性が含まれる点です。このため、理想的なキャリアの積み方を企画する「キャリアデザイン」や、職務経験などを通して個人の能力開発をうながしていく「キャリア形成」は、中長期的な時間軸が必要な要素となってきます。個人が歩んできた職業やスキル習得も含めた経験が、将来の生き方に影響を与えることは実際にあります。後に入社したのは出版社で、8年経ってからまったく経験したことのない人事関連のコンサルティング会社に入社しました。ここで直接的には職業経験は一度途切れていますが、日常的に文章を書くことが多いコンサルタント業務をするうえで、出版社時代の文章の書き方や、校正の経験が非常に役立っています。ずいぶん関係ないところで影響するものだと自分でも思いますが、キャリアの中長期的な時間軸からすると不思議なことではないのかもしれません。一つでしたが、近年「人生100年時代」を背景として、キャリアについての関心がさらに高まっていると感じます。かつては若年層がいかによい会社に入るか、希望の仕事をするかといった文脈で語られることが多かったのです例えば、筆者の話で恐縮ですが、大学卒業直以前から働く人にとってキャリアは関心事の「キャリア」の定義はむずかしいキャリアへの関心の高まり株式会社グローセンパートナー 執行役員・ディレクター 吉岡利之 人事労務管理は社員の雇用や働き方だけでなく、経営にも直結する重要な仕事ですが、制度に慣れていない人には聞き慣れないような専門用語や、概念的でわかりにくい内容がたくさんあります。そこで本連載では、人事部門に初めて配属になった方はもちろん、ある程度経験を積んだ方も、担当者ならおさえておきたい人事労務関連の基本知識や用語についてわかりやすく解説します。2020.948「キャリア」第4回■■■■■■■■いまさら聞けない人事用語辞典

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