エルダー2020年9月号
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50が、近年は定年や寿命の延びに関連して、職業人生を含めた人生全体を、いかに充実したものにするかという広いとらえ方になってきています。例えば、会社の選び方も「就社から就職へ」といわれることがあります。この場合の「就社」は、終身雇用を前提に安定性や将来性のある会社に入社することに関心がもたれていますが、「就職」は就いた職務により、経験やスキルを積み、それを活かして自身が望む仕事や生き方ができるのであれば、転職や独立も選択肢に含まれるという考え方です。「平成31年度新入社員『働くことの意識』調査結果」(図表1)によると、特徴的なのは会社の選択理由として「能力・個性を生かせる」、「仕事が面白い」が半数超の回答で、「会社の将来性」という回答は長期にわたって減少傾向を示しているうえに、もっとも低い回答になっています。各社の採用ホームページなどを見ても、会社の素晴らしさよりも、どのような経験を積めるか、自身を活かせるかという点で訴求しています。これは高齢者雇用でも同様です。経済産業省が作成した「『人生100年時代』の企業の在り方」(2017年)という資料で、よくまとめられています。要旨は、従来のキャリアは終身雇用を前提に会社がつくるものでしたが、これからは社員が自律的にキャリアをつくり、独立や転職などの社外転身も視野に入れるというものです。本資料でも指摘されていることですが、社内のほかのだれかに代替が利きやすい仕事をしているかぎり、高齢者雇用では定型作業や雑用などの「低付加価値労働」のにない手として位置づけられます。くのであれば、社外でも通用するスキルや専門性を習得していかなければならず、それを武器とすれば社内で継続的に働く場合でも、60歳以前と同じような働き方をし続けることができることになります。る70歳までの就業機会確保の努力義務(2021年4月施行)で、定年廃止・定年延長・再雇用に加えて、「他企業への再就職支援」、「継続的な業務委託」、「社会活動への従事」が追加されました。これは選択肢が広がる一方で、特に他企業への再就職や業務委託は同一会社での継続雇用よりもより難易度が高く、キャリアに対する意識を変えて自身の得意領域を明確にしていかないと、現実的にはむずかしい領域となります。一方、社外も見据えたキャリア形成をしてい本連載第2回にも記載した通り、法改正によエルダー図表1 会社の選択理由(主な項目の経年変化)会社の将来性会社の将来性出典:「平成31年度新入社員『働くことの意識』調査結果」(公益財団法人日本生産性本部)技術が覚えられる能力・個性が生かせる仕事が面白い仕事が面白い技術が覚えられる能力・個性が生かせる49(%)4035302520151046474849505152535455565758596061626312345678910111213141516171819202122232425262728293031平成→■■■■■■■■いまさら聞けない人事用語辞典

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