エルダー2020年9月号
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は、短時間就業希望の増加(38・0%)などが多くなっている。なお、キャリア設計への関心の高まりは大企業で32・2%、中小企業で20・3%と、差が大きかった。人生100年時代の予測をもとに、企業が﹁これまで重視してきた能力﹂と﹁人生100年時代で求められる能力﹂を比較してみると、これまで重視してきた能力では、経験をもとに着実に仕事を行う能力(67・3%)、チームの一員として自らの役割を果たす能力(64・6%)などの割合が高かったのに対し、人生100年時代に求められる能力としては、自ら考え、行動することのできる能力(55・3%)、柔軟な発想で新しい考えを生み出すことのできる能力(53・5%)などの割合が高まっている。特に、柔軟な発想で新しい考えを生み出すことのできる能力は、これまで重視してきた能力では20・8%であり、32・7%ポイント上昇している。(一部省略)2. 日本企業の雇用管理と長期勤続化の課題採用、配置、昇進管理などについて、異なる二つの考え方を示し、どちらに近いかをたずねることによって企業の考え方を調べてみると、全員長期雇用か一部精鋭化か、柔軟な発想で新しい考えを生み出すことのできる能力困難に立ち向かうことのできる精神的な能力特定の分野における専門的・技術的な能力自ら考え、行動することのできる能力役割を果たす能力チームの一員として自らの仕事を行う能力経験をもとに着実に前者の考えに近い教育投資は長期回収か短期回収か昇進は勤続重視か抜擢重視か採用は新卒重視か中途重視か職務は総合性重視か専門性重視か異動は会社主導か個人主導か能力開発は会社主体か個人主体か幹部は内部登用か外部登用か一部精鋭化か全員長期雇用か後者の考えに近い⑵ 人生100年時代に求められ0 る能力(図表2)⑴ 依然として高い長期雇用への志向性(図表3)エルダー図表2 これまで重視してきた能力と人生100年時代に求められる能力図表3 採用・配置・昇進管理に関する企業の考え方67.364.646.31.21.21.21.21.31.30.80.80.70.754.455.343.847.138.90.80.80.40.40.40.40.60.60.60.60.30.30.20.2-0.1-0.10.00.0-0.1-0.1これまで重視してきた能力人生100年時代で求められる能力53.530.328.420.830〜299人規模300人以上規模規模計0.60.6-0.3-0.3-0.3-0.3-0.4-0.4-0.5-0.5-0.5-0.5-0.3-0.3-0.5-0.5-0.5-0.553(%)8070605040302010注 企業に対する調査で複数回答。(ポイント)1.51.00.50.0▲0.5▲1.0注1 企業に対する調査で、二つの対になる考え方(前者と後者)を示し、前者に近い、どちらかというと前者に近い、どちらかというと後者に近い、後者に近い、のいずれかの回答をえた。集計にあたっては、前者に近いに2ポイント、どちらかというと前者に近いに1ポイント、どちらかというと後者に近いに▲1ポイント、後者に近いに▲2ポイントを与え加重平均値をとった。 2 表章事項は簡略化しており、調査における前者と後者の表現は、正社員全員の長期雇用に努める・正社員の一部を精鋭として残す/高い職位には生え抜き社員を登用する・高い職位には外部人材を登用する/従業員の能力開発の責任は企業側にある・従業員の能力開発の責任は従業員個人にある/異動は会社主導で行う・異動には従業員の意見・希望をできるだけ反映させる/職務にとらわれず広く仕事を経験させる・特定の職務内で仕事を経験させる/新卒採用に力を入れている・中途採用に力を入れている/勤続年数を重んじて昇進させる・勤続年数に関係なく抜擢する/従業員への教育投資の回収は10年以上かけて行う・従業員への教育投資の回収は10年未満で行う、とされている。30~299人規模の中小企業で

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