エルダー2020年9月号
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人事管理入門 第3版ミドル・シニアの脱■年■功■マネジメント■■■■■■■■■今■■野■浩一郎、佐藤博■■樹■ 著/■■マネジメント・テキスト「人事管理の仕組みを知らなくても、企業で働くうえで困ることはない」という考え方もあるだろう。しかし、高齢者雇用の進展とともに終身雇用制がほころびを見せ始め、同一の企業で定年まで働き続けることがあたり前ではなくなった現在、自分のキャリアを自分で考えたい人にとって、人事管理の機能や仕組みを知ることは不可欠といえるのではないだろうか。本書は、そうした目的のためにも役立つ、本格的な入門テキストだと思われる。本書の初版が刊行されたのは2002年。「あまり理論的なことに偏■らずに、(企業における)人事管理の実際とその背景を知ってもらう」ことを目的に、人事管理の基本的な機能と仕組みが体系的に網羅されたテキストとして好評を博してきた。今回の改訂では、統計データなどを最新の情報に改めるとともに、「いまの状況」を正確に伝えるために、「同一労働同一賃金」、雇用」など、人事管理上で問題となっているテーマの解説が「トピックス編」として追加されている。著者の2人は、高齢者の雇用管理にも詳しく、本誌でも執筆いただいている(今号では7〜10頁、40〜43頁に掲載)。「ダイバーシティ・マネジメント」、「ジョブ型日本的経営の象徴として知られている「年功マネジメント」。かつては日本企業の強みとされていたが、65歳までの雇用確保が義務化され、さらに70歳雇用時代の幕開けが迫るなかで、その限界を指摘する声が大きくなっている。とりわけ難問とされているのが、年功マネジメントの範■疇■に収まらない「年上部下」と「年下上司」の関係性がもたらす問題だろう。高齢者雇用の進展とともにあたり前となった「年上部下・年下上司」が、多くの企業で組織の停滞を招いている状況をふまえ、本書では70歳雇用時代に求められる人事労務管理の処方箋として、「年上部下」を戦力化するための「脱年功マネジメント」を提唱している。さまざまな調査研究で実績をあげてきた編者ならではの知見をもとに、「年上部下」となったミドル・シニア社員と、その「年下上司」に向けて、現場での苦労やトラブルを解決するために必要なマネジメントのポイントをわかりやすく提示している。とくに、第4章「役職定年制の功罪と運用の留意点」や第5章「環境変化に伴い様変わりする職場」は、ミドル・シニア社員の戦力化に本気で取り組んでいる担当者におすすめの内容である。日経BP日本経済新聞パーソル総合研究所 編/出版本部/3000円+税労務行政/2300円+税2020.95640〜50代「年上部下」の躍進行動支援の勘■所■※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「本体価格」(消費税を含まない価格)を表示します基本的な機能から最新情報まで漏れなく学べる、本格的な入門テキスト70歳雇用時代に不可欠な人事労務管理の処しょ方ほう箋せんを提示

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