エルダー2020年10月号
11/68

特集令和2年度 高年齢者雇用開発コンテストⅠエルダー9できたが、1981年にコンビニエンスストア事業に着手、1986年には福井県初の24時間営業を開始した。翌年には、POS・EOS※2を導入し店舗を拡大。この間、調理事業部を立ち上げ、独自の調理・加工作業により大手コンビニチェーンにはない「地産地消」の故郷の味を提供しているほか、いち早く店内にイートインコーナーを設置するなど、県下のコンビニ業界の先駆けとして歩んできた。2008(平成20)年、北陸自動車道で「北きた鯖さば江えパーキング下り店」を開店、2016年には福井市指定管理者となり、福井駅前観光物産館を運営するなど、コンビニ業界の枠にとどまらずに業容を拡大し、現在は福井県内で12店舗を運営。食文化の伝承による地域貢献を目ざしている。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方Ⅲ現在、社員の高齢化が進んでおり、60歳以上の社員が増加傾向にある。300人の社員のうち、60歳以上は71人(男性18人、女性53人)で、全社員の23・7%を占める。70歳以上は19人(男性5人、女性14人)で、最高年齢者は76歳である。同社では、1986年の24時間営業の開始を契機に、店舗運営の省力化・標準化と人事管理制度の拡充の取組みをスタート。従来、店舗スタッフは若手中心であったが、経験豊かな中高年層の積極的活用に切り替えた。なかでも高齢社員が長年つちかってきた経験や知識は「地産地消」の「故郷の味」の再現に発揮された。また、高齢社員の仕事に対する真摯な姿勢は若手社員を鼓舞し、よりよい職場環境の実現につながっている。改善の内容Ⅳ(1)制度に関する改善◦定年制度と継続雇用制度の改定以前は65歳定年、運用による73歳までの継続雇用制度を実施していたが、少子高齢化が進むなか、採用難で人手不足の状況も重なり、年齢にかかわりなく働ける環境整備に迫られていた。こうした状況のもと、2019年6月に70歳定年制を導入、従来運用で行っていた73歳までの継続雇用制度を就業規則に明文化した。一方、就業規則には規定されていないが、73歳を超えても半年ごとに行う面談で合意が得られた場合、運用により年齢の上限なく継続雇用の契約更新を続けている。継続雇用制度は、ライフスタイルに合わせた短時間勤務コース(再雇用制度)と、現役社員と同じフルタイム勤務コース(勤務延長制度)の二つのコースがあり、継続雇用に切り替わることによる賃金水準の減額などの待遇面の変更はない(※短時間勤務コースの場合は、勤務時間に比例)。◦賃金制度・評価制度の見直しコンビニ事業開始当初から全社員に対して、コンピテンシー評価※3を活用した人事評価を実施している。それまでは、年功による評価・処遇を行っていたが、人事管理制度の拡充を進めるなかでコンピテンシー評価を導入し、賃金制※2 EOS…… 「Electronic Ordering System(電子発注システム)」のこと。ネットワークを利用して発注情報を伝達するシステム※3 コンピテンシー評価…… 職務や役割を遂行するうえで良好な成果を上げるための行動特性(コンピテンシー)を含め、それをもとに評価すること店内の様子。面積の半分を総菜やイートインコーナーが占める

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る