エルダー2020年10月号
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2020.1010度も見直した。人事評価は年2回行われ、職場責任者による一次評価、社長による最終評価が行われる。求められる人物像を明確にしたコンピテンシー評価は自分の強みや弱みが把握できると社員から好意的に受け止められている。◦多様な就労形態の構築24時間営業開始を契機に夜間専門スタッフとして「ナイター社員」の採用を開始したほか、原則4時間勤務の「ハーフ社員」、自分の就労できる時間を登録し同僚の急な欠勤時などにも対応する「ほっとスタッフ」など、それぞれのニーズやライフスタイルに合わせた多様な就労形態を整備した。本人に就業意欲があり、身体的・能力的に支障がなければ年齢の上限なく働ける環境と処遇が整備されたことで社員のモチベーションが向上し、さらにライフスタイルに合わせた働き方を選択できるようになったことから、定着が促進された。(2)高齢社員を戦力化するための工夫◦全社員と面談を実施6カ月ごとに全社員に面談を実施、コンピテンシー評価をもとに本人の希望や要望を確認するとともに、役割および知識の習得度を話し合っている。面談によって役割や責任が明確になり、会社から必要な人材だと認められているという感情が醸成され、モチベーション向上につながっている。◦ペア就労若手社員への作業方法や接客マナーなどの指導役を高齢社員が担当、人生経験をふまえた優しい指導が功を奏し、若年層の定着を促進している。人生経験豊かな高齢社員の指導は業務の伝承にとどまらず、若手社員の社会人としての資質向上にも役立っている。◦最新機器導入による作業の平準化1980年代に登場したパソコン、POSシステムを他社に先駆けて導入したほか、近年ではAIを活用した総菜自動会計システムなどの最新機器や自動釣銭機を導入、作業の平準化を図っている。以前は会計係が多種の食品単価を覚える必要があったが、AIを活用した総菜自動会計システムの導入により、会計処理の負担が取り除かれた。また、一定の経験が必要であったレジ作業についても、自動釣銭機を導入したことで精神的負担が軽減された。機器の操作が苦手な高齢社員に対しては時間をかけて操作方法の研修を実施。その結果、すべての社員がパソコンでの受注・発注管理およびPOSを使いこなし、高齢社員の活躍の場の拡大につながった。(3)雇用継続のための作業環境の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み①作業環境の改善地産地消を重視していることから多くの総菜を自社で製造しているが、大量に製造するため大型の調理設備を使用している。そのため、体力と注意力が必要な調理業務は高齢社員にとって負担が大きく、以前は体力の衰えから退職する者も少なくなかった。貴重な人材の流出を抑AIを活用した総菜自動会計システム。自動的に商品を識別し、モニターをタッチすることでレジに精算額が反映される

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