エルダー2020年10月号
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特集令和2年度 高年齢者雇用開発コンテストⅠエルダー17法人の沿革・事業内容Ⅱ同法人は、1976年の「泰平老人病院」の開業以来、医療を通じて地域貢献を目ざしてきた。1993年8月に介護老人保健施設を開設したことを皮切りに、従来の病院経営に加えて介護サービス事業に着手。1999年8月には医療法人成雅会泰平病院を設立した。2001年に認知症対応型共同生活介護「グループホーム陽ひだまりの丘」、2004年に介護付有料老人ホーム「よかよかの郷さと」、2014年に小規模多機能ホーム「ぬくもりの里」、2018年には介護医療院※を開設し、介護業の業容を拡大してきた。質の高いサービスを提供することで地域医療の中核的な役割をにない、地域住民からは、利用しやすい施設として知られる存在となっている。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方Ⅲ地域貢献を目ざし、医療業に加えて介護業にも業容を拡大するなか、人材の確保に苦慮してきた。人材の充足率を高めるため、離職を防ぐ取組みと同時に、ベテランの高齢職員が長く働ける制度を充実させる取組みを進めることにした。職場における課題を把握するために、2015年8月には「職場生活等に関するアンケート」を全職員に実施、結果を参考に賃金制度や人事評価制度の見直しを図った。また、退職者に「退職事由アンケート」を実施するなど、勤務継続のための阻害要因を把握し、今後に活かすことにした。さらに、新たな賃金制度や人事評価については透明性や公平性を高め、だれもが納得できるものにするため、協議を重ねながら改定を進め、2018年8月に労使で合意した。現在、271人の職員のうち、60歳以上は83人(男性18人、女性65人)で、全社員の30・6%を占める。70歳以上は27人(男性7人、女性20人)となっており、健康で意欲と能力があれば、長く活躍できる環境が整備されている。改善の内容Ⅳ(1)制度に関する改善◦定年制と継続雇用制度の改定 これまで「60歳定年」、「基準該当者65歳まで継続雇用」としていたが、2019年4月から「65歳定年」、「希望者全員70歳まで継続雇用」に改定した。また、70歳以降は、運用により、労使で合意した者は年齢に制限なく雇用継続するとし、実質的に本人から退職の申し出がないかぎり雇用を継続している。制度改定にともなう経過措置として、2019年時点で55歳以上の職員を対象に、本人が希望する場合は60歳で退職金を支給することとした。◦賃金制度の見直し (ハイブリッド等級制度の導入)給与は基本給と各種手当(役職・通勤・夜勤手当など)で構成される。役職定年はなく、昇給停止年齢もない。年俸制でない者には賞与と退職金も支給される。現役職員と定年後の職員で、賃金や評価方法に差のない運用がなされている。職種は正看護師、准看護師、介護福祉士、介護職、薬剤師、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)など約10職種に分かれており、賃金テーブルも複数に分かれて※ 介護医療院…… 長期的療養が必要な要介護者を対象とする、医療機能を生活施設としての機能をあわせ持つ施設病院外観

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