エルダー2020年10月号
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特集令和2年度 高年齢者雇用開発コンテストⅠエルダー25スチック加工製品を製造しており、溶かした原料をスクリューで金型から押し出し成形する異型押出成形という技術を用いている。見ためが木材風のエクステリア用フェンスデッキや、土木・建築資材が主力製品となっており、耐久性に優れることから非常に人気が高い。また、プラスチックの異型押出成形による技術を持っている企業は少なく、木目調の模様を出す技術が高く評価されている。注文が増加傾向にあるなか、慢性的な人手不足もあり技術の継承が大きな課題となっているが、高齢社員が新入社員をマンツーマンで指導するなど人材育成に力を入れている。生産部門のほか、研究開発部門を展開しており、山梨県が地域の産業振興に貢献する企業を表彰する「令和元年度やまなし産業大賞」の大賞を受賞するなど、地域での注目度も高い。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方Ⅲ現在、43人の社員のうち、60歳以上は13人(男性9人、女性4人)で、全社員の30・2%を占める。70歳以上は5人(男性3人、女性2人)で、最高年齢者は80歳である。2009年に木目調再生発泡ポリスチレン板材製品の製造を始めてから業績が伸長するとともに慢性的な人材不足が続いていた。加えて、社員の高齢化も予測されたため、長く働いている社員がつちかったスキルや就業意欲を有効に活用するため、2013年に定年制を廃止した。採用により人材を確保することも重要だが、いま働いている人材に長く働いてもらうことを重視している。一方、過去に近隣企業の閉鎖や縮小があった際には、中高年者の安定した生活環境を提供するため中途採用を積極的に行い、中高年者の生活基盤の拡充を目ざし、人材育成教育についても積極的に行ってきた。勤務制度については、一人ひとりの事情や体力に合わせて、個別に対応することにしている。改善の内容Ⅳ(1)制度に関する改善◦定年制度の廃止以前は60歳定年制を導入していたが、段階的な定年延長や継続雇用制度の導入ではなく、2013年に定年廃止にふみ切った。もともと運用により定年後も希望者全員を再雇用していたことから社員から大きな反響はなかったが、人材募集時に「定年なし」と記載することで、年齢を問わず応募が多くなったなど、人材確保の面で好影響が生じている。◦賃金・評価制度社員は、全員正社員として処遇しているが、本人の希望によりパート社員となる場合もある。全社員43人のうち4人がパート社員で、いずれも育児や地域の役員を務める関係で、急な休暇が必要になることがあるという理由などから、本人がパートタイムで働くことを希望した。月給制と日給・時給制の違いはあるが、諸手当や賞与、社会保険、退職金制度などについて正社員とパート社員の間に差はない。パート社員については、年に一度の面談や会社外観

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