エルダー2020年10月号
46/68

2020.1044「測量は初めてでしたが、思ったより上達が早かったですよ。ただ体力面ではきつく、正直なところ、長くは続かないかもしれないと思いましたね」測量は直線で測るため迂回することができず、川があれば渡り、手入れされていない樹木がおい茂る山も真っすぐに進まなくてはなりません。測量作業前に伐採や草刈りの作業が必要になるので、チェーンソー・刈かり払はらい機き取扱作業者の講習も受けているそうです。たいへんな作業ですが、これまで訪れたことのない県内外の見知らぬ土地で仕事ができることも魅力なのだとか。「裏方として、現場の社員が業務を楽しく、ス下げることはせず、働きぶりと評価に応じた賃金制度をつくっていきたいということでした。そこで、65歳定年制と65歳超の継続雇用制度の規定化をすすめ、同時に、高齢者の仕事ぶりを反映した人事評価制度の構築を提案しました」ヒアリングからスタートした小針プランナーの助言と提案は、現在進められている改訂作業の一助となったそうです。また、同社は以前から、女性が活躍できる職場づくりに積極的に取り組んでいるほか、道路や河川の清掃活動といった社会貢献活動なども行っており、地域を牽けん引いんする企業とのこと。業績がよいこともこうした活動が関係しているのではないかと、小針プランナーは見解を述べていました。今回は、藤建技術設計センターで技術者として働く方々に話を聞きました。豊富な知見で周りをサポート栗原順一さん(69歳)は、技術部技術第2課で、測量業務、調査業務などを行っています。正社員として週5日、フルタイムで勤務中です。東日本大震災の影響で、以前勤務していた製材会社が倒産し、知人のつながりから61歳のときに同社に入社しました。栗原さんは、当時の心境を茶目っ気たっぷりにふり返ります。限なく継続雇用しており、実際の働きぶりに応じて給与を支払っていることから、定年前とほぼ変わらない水準が維持されています。このような状況に鑑かんがみ、2020(令和2)年度内には定年年齢を60歳から65歳に引き上げ、継続雇用制度についても改めて整備する予定とのこと。給与や退職金の見直しについても進めています。近藤松しょう一いち社長は、高齢社員について次のように話します。「実際のところ65歳の社員は、現役バリバリです。当社の仕事は知識と経験がものをいう技術の仕事ですから、熟練の経験者は会社にとって大切な財産です。今後も大事にしていきたいですね」2019年7月に初めて同社を訪問した小針プランナーは、社内が明るい雰囲気であることを感じました。「理念にもあるように、社員をとても大切にする会社です。すでに65歳以降の継続雇用を積極的に行っており、定年後の賃金も定年前とほとんど変わらないという待遇であったので、次のテーマは『高齢者の戦力化』と考え、高齢者のモチベーションアップにつながる施策に力点を置いた提案を行いました。近藤社長は、今後、高齢者が増えてきたらどうするかという観点で、将来のあり方について検討されており、一般的に行われている給与を一律に測量・調査業務を中心に活躍している栗原順一さん

元のページ  ../index.html#46

このブックを見る