エルダー2020年10月号
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必要な体制の整備について5改正公益通報者保護法においては、常時使用する労働者が300人を超える事業主においては、以下の2点を遵守することが法律上の義務となりました。① 公益通報に対応する業務に従事する者を定めること。② 公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置を取ること。常時使用する労働者が300人以下の事業主においては、これらの事項について努力義務にとどめられていますが、従事者の指定および窓口の設置を行っていないとしても、内部通報があった場合には公益通報として取扱い、適切に対応する必要があることには相違ありません。また、報道機関などに対する公益通報の要件が緩和されたこととの関係でいえば、体制の整備がなされていないことは、匿名性の確保に関して、通報者の特定に資する情報が守られないと考える理由の一つにはなりえるとも考えられます。そのため、今回の公益通報者保護法の改正が、300人以下の事業主にとって無関係なわけではありません。自社内にて公益通報に対応できる準備は整えておくか、外部の窓口を指定しておくことが望ましいでしょう。テレワークと就業場所の指定について1テレワークの実施にあたっては、テレワークに関する規程が定められるなど、テレワーク導入時の業務内容について、労使間のルールを定めた状態で開始することが通常です。例えば、厚生労働省が公表している『テレワークで始める働き方改革 テレワークの導入・運用ガイドブック』(以下、「ガイドブック」)には、テレワークを導入する場合には、就業規則にテレワーク勤務に関して規定しておくことが必要であると記載されています。テレワーク実施にあたって、就業規則に定めておくべき事項として、ガイドブックでは、テレワークを命じることに関する規定、テレワーク用の労働時間を設ける場合の規定、通信費などの負担に関する規定を定める必要があるとされています。これらについては、テレワークの実施は就業場所の変更を意味するため、これを命じるためには、例えば「就業場所を事務所のみとする」といった、就業場所の限定がないこと(ある場合には合意で解除または変更すること)、変更を命じる根拠となる規定を定めておく必要があります。また、労働基準法第89条においては、就業規則の絶対的または相対的必要記載事項が定められており、始業および終業の時刻や休憩時間、作業用品などの負担に関する事項などがこれらに該当します。そのため、これらのルールを定める場合には、テレワークに関する規程を定め就業規則として周知・届出が必要となります。テレワーク導入にあたっては、就業規則の整備が基本ですが、そのほか一斉休憩除外のための労使協定も必要になることが多いでしょう。就業規則に、就業場所の変更、就業時間の変更がある場合を含め、テレワークにかかる費用負担に関する点などを定めて準備を進めましょう。Aテレワーク導入時の留意点について教えてほしいテレワークを導入しようと考えていますが、どこから手をつけたらよいのかわかりません。どういった手順で進めていけばよいのでしょうか。Q22020.1052

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