エルダー2020年10月号
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582020.10※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「本体価格」(消費税を含まない価格)を表示します森本英樹、向井 蘭らん 著/中央経済社/2900円+税石井直なお方かた、柏かしわ口ぐち新しん二じ、髙たか西にし文ふみ利とし 著/東京大学出版会/2200円+税産業医と弁護士が、適切な対処法と豊富な事例を紹介生涯現役で働くことができる健康を手に入れたい人のための入門書職場のメンタルヘルスに関しては、パワハラ防止対策の法制化にともない、今年5月に精神障害の労災認定基準が見直されたことが記憶に新しい。実際、企業の人事労務担当者にとってメンタルヘルス対策は複雑で、片手間に対処することができない課題になっている。本書は、メンタルヘルス対策に精通した産業医の森本氏と、一貫して使用者側から労働問題に取り組んできた弁護士の向井氏によって、「理想論のメンタルヘルス対応だけを語るのではなく、悩ましい状況に対してどう考えるのか、現実的な折り合いをどうつけるのか」という視点からまとめられている。一読すると、メンタルヘルス対策の現状や復職支援の実際を紹介するばかりでなく、例えば退職勧奨にまで踏み込んでいるところが本書の特長であることがわかる。事例紹介の章では、29もの事例に対して、弁護士の視点、産業医の視点から適切なアドバイスが示されており、人事労務担当者以外の関係者にとっても、参考になるだろう。実際に課題を抱えている企業の担当者はもとより、万一の場合に備えて、必要な知識を得ておきたい人事労務担当者にもおすすめの好著だ。テレビの健康番組やタレントを起用したテレビCMなどによって、筋トレ(筋力トレーニング)が注目を集めている。筋トレによって健康の保持増進が実現することが周知された一方で、筋トレの基本が軽視されてしまったり、「これだけやればよい」といった極端な手法がもてはやされてしまったりするなど、筋トレの実践方法は、ある意味、玉ぎょく石せき混こん交こうの状態に陥っているように思われる。本書はこうした状況に一石を投じるために企画された。ともに筋トレを高度なレベルで実践している、運動生理学の研究者(石井氏)、筋トレを医療に生かしてきた整形外科医(柏口氏)、プロ野球のトレーニングアドバイザー(髙西氏)が、それぞれの経験と知識を駆使して、筋トレの基本の重要性と有用性を紹介している。筋トレの基礎理論をていねいに解説するとともに、筋トレの実践方法、食事や栄養との関係、休養の効果などにも触れているところが本書の特長といえるだろう。巻末の「種目別解説」はトレーニングジムでの実践に役立つ。ネット上で飛び交っている俗説に惑わされることなく、生涯現役で働くことができる健康を手に入れたい人に役立つだろう。筋力強化の教科書ケースでわかる実践型 職場のメンタルヘルス対応マニュアル

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