エルダー2020年10月号
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エルダー61国民病ともいえる腰痛2016(平成28)年に行われた「国民生活基礎調査」(厚生労働省)では、身体の不調に関する回答を分析したところ、多くの人が腰痛に悩まされていることがわかりました。その傾向は年齢が上がるにつれ高くなる特徴があります。今回は、こうした国民病ともいえる「腰痛」を改善するための、知識や方法をご紹介したいと思います。腰痛の原因とは腰痛には「ぎっくり腰」のような急性腰痛もあれば、長なが患わずらいの慢性腰痛もあり、その原因は多岐に渡ります。しかもその多くが「非特異的腰痛」といわれています。「非特異的」と聞くと少しむずかしく感じますが、症状があるのに、レントゲンやMRIなどの画像検査の結果が一致しないものを、非特異的と呼びます。では、この非特異的腰痛を訴える人には、どんな傾向が見られるのでしょうか。これを分析した結果、「筋肉や関節の使い過ぎ」、または「誤った使い方」、「生活習慣のなかで癖になってしまっている動き」、「同じ動作のくり返し」、「長時間同じ姿勢が続く」、「不良姿勢」など、いわゆる「筋骨格系・姿勢動作」に問題があることがわかってきました。また脳科学や心理学の研究結果から、思考や心理的な要素が腰痛を引き起こすことも報告されています。「まだ痛いんじゃないか」という痛みに対する不安感から、痛みを自分の頭で増幅させてしまう場合や、「ある動きが痛ければすべてが痛い」と決めつけてしまう認知バイアス(歪み)によって、痛みを自分からつくり出してしまっている場合もあるようです。ただし、なかには命にかかわるような病気が原因となる腰痛もあります。自己判断せずに、医療機関を受診することが大切です。「非特異的腰痛」を改善するためにはこれまでは、腰痛に対しては安静を第一に考える治療が推奨されてきました。しかし非特異的腰痛に対する考えやその背景から臨床研究が進み、安静にすることがかえって改善を遅らせることがわかってきました。そのため近年の腰痛治療は運動療法を主体とし、できるかぎり体を動かす方向へとシフトしています。認知バイアスに対しては、カウンセリングや認知行動療法も積極的に行われています。われわれ自身が腰痛と向き合うためにも、そうした医療機関の取組みに習い、「少しずつ身体の仕組みや運動の知識を増やし、筋力不足や柔軟性を改善する運動習慣をつける」ことが大切です。正しい知識を身につけ、継続的に運動することで、腰痛は自身でもケアし予防することができます。次頁からストレッチを紹介! みなさんは日ごろから運動をしていますか? 加齢による身体機能の低下はさまざまな影響をもたらし、場合によっては日常生活や仕事に影響が出てくることも考えられます。そこで本企画では、職場で気軽に、短時間でできるストレッチやトレーニングを紹介します。ぜひ職場のみなさんでチャレンジしてください。第3回身体のお悩みナンバーワン「腰痛」柔道整復師/八王子整骨院 院長山﨑 由ゆ紀き也やストレッチ体操ストレッチ体操短期連載LET‘S TRY!

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