エルダー2020年11月号
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特集令和2年度 高年齢者雇用開発コンテストⅡエルダー9企業の沿革・事業内容Ⅱ伸和ピアノ株式会社は、1970年に創業。千葉県船橋市に拠点を置く楽器店にて、レコード盤を各店舗へ配送する業務を開始し、次第にエレクトーン、ピアノなどの大型楽器の配送を行うようになった。その後、配送事業からピアノの修理、弾かなくなったピアノの買取り・整備・販売事業へと軸足を移行していった。海外展開にも力を入れており、国内で買い取ったピアノを修理し、主に中国や東南アジアへ輸出販売する事業が伸長。年間約1万8000台を輸出し、売上げの9割を占めている。日本製ピアノの需要は大きいため、しばらくは安定的な事業展開が期待できるが、飛躍的に拡大することはないとの予測から、今年から本格的に管楽器の買取り販売部門を新設した。2020(令和2)年3月には西日本エリアの拠点として関西支店を開設した。中古であっても納入先からは、「このようなよいピアノがくるとは思わなかった」など、感謝の言葉をもらうことが多い。それが社員の励みとなっており、各社員が一層の技術向上を目ざしている。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方Ⅲ119人の社員のうち、60歳以上は14人(全員男性)で全社員の11・8%を占める。70歳以上は5人(4・2%)となっている。新規学卒者の定期採用はなく、随時中途採用の募集を実施。ある程度専門性が必要な仕事ではあるが、採用にあたってはやる気や人柄を重視している。20~30代を合わせると40人(33・6%)で、若い層が主力となっている一方、50代は30人(25・2%)で、今後は高齢者層の増加が予測されることから、高齢社員が長く働き続けられる職場環境の構築を進めてきた。職種は、楽器店や個人宅へのピアノの運搬や、ピアノの査定・買取り・引取りを行う「ピアノ仕入部門」、買い取ったピアノをクリーニング・修理・塗装・調律し、新品同様に仕上げる「ピアノ工房部門」、買い取ったピアノの倉庫への積下ろしやメンテナンスを終えたピアノを輸出用コンテナへ積み込む「倉庫内ピアノ移動部門」、そして「事務部門」の4部門で構成されている。現在、高齢社員は主に「ピアノ工房部門」でのクリーニング・修理、「倉庫内ピアノ移動部門」でのピアノの積下ろし・積込みに従事している。2016年に新設された倉庫内ピアノ移動部門は、主に倉庫内にてピアノを移動する部署で、高齢者を積極的に採用した。同社の業務は作業によっては数年の経験が必要な工程もあり、40~50歳ぐらいまでに技術を身につけてもらい、その後の活躍につなげてもらう。一方、「ピアノ移動部門」は専門性があまり必要でないことから、50~60代で中途入社した社員でも活躍できる場となっている。改善の内容Ⅳ(1)制度に関する改善◦定年制の廃止「安定して生活するには安定して働くことが重要であり、そのためには経済的な裏づけが必要である」という創業者の理念のもと、2016会社外観

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