エルダー2020年11月号
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特集令和2年度 高年齢者雇用開発コンテストⅡエルダー11高齢社員からの人気が高い。また、ピアノ工房部門内の休憩室に血圧計を設置しているほか、社内共有スペースに体組成計を設置した。毎月最低1回は測定し、個人が専用ノートで数値を管理することを奨励したことで、社員一人ひとりの健康に対する意識が向上した。さらに、年に1回実施しているストレスチェックでは、部署や性別だけでなく、年齢別の判定を注意深く確認しており、課題に応じて衛生委員会で対策を講じている。また、アンケートを実施することで具体的な内容が把握でき、職場環境の改善に役立っている。◦安全衛生重量(約250㎏)のあるピアノを扱う業務であり、ピアノが倒れることによって起こる事故やけがを未然に防止するため、労働災害防止活動に注力している。2カ月に1回、約4時間の勉強会を開催しており、実際に起こった労働災害の事例を紹介し、それを防ぐための具体的な対策を示すなど、事故防止に努めている。そのほか、労働災害を防止するための環境整備にも努めている。例えば、作業場と階段を隔てている扉では、不用意に作業場から扉を開けると階段を昇降中の社員にぶつかってしまい、ケガをする恐れがあった。そこで、カメラを設置して防災扉の押し手側に液晶モニターを取りつけることで、作業場の中から階段の状況を確認できるようにした。なお、カメラは施設内のさまざまな場所に設置しており、録画することによって作業状況や災害リスクの低減に努めている。(4)その他の取組み季節(年6回)ごとに、エントランスから事務部門スペースにかけて社内を飾りつけし、職場の雰囲気を明るくしている。また、文化・芸術活動支援に力を入れており、ピアノコンサートの開催やクラシックコンサートの後援を行っている。(5)高齢社員の声最高年齢社員(81歳)の山内さんは60歳で入社、フルタイムの非正規社員として勤続21年を誇る。当初は本体塗装仕上げを担当していたが、本人の希望により現在はピアノの部品交換・クリーニング業務に従事し、80歳を超えた現在も前線で活躍している。「輸出用のピアノの作業では、かぎられた時間で作業する必要があるため、たいへんだがやりがいもある」と話す。(6)今後の課題今後、さらなる人事制度の見直しを行い、すべての社員を正社員に改め、そのうえで短時間勤務などの弾力的な雇用の実現を目ざすとともに、賃金制度の見直しも視野に置いている。また、人間ドックや脳ドックの受診など健康面への新たなサポート制度を検討しているなど、高齢社員が長く活躍できる職場環境の創出に向けて全社一丸となって邁進していく。ピアノ工房部門の専用ブースで仕事をする最高年齢社員(81歳)の山内さんウォーキングマシンを使用して運動中の高齢社員

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