エルダー2020年11月号
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特集令和2年度 高年齢者雇用開発コンテストⅡエルダー13の運営管理を開始。6年後に社会福祉法人に改組した。地域に貢献する介護事業の推進を目ざすなか、現在では町田市周辺に設置された3カ所の事業部(金森事業部、輝かがやきの杜もり事業部、鶴の苑さと事業部)を拠点に、特別養護老人ホーム、介護つき有料老人ホーム、居宅介護支援施設、訪問介護施設、通所介護施設などを運営している。利用者はもちろん、働く人も含めたすべての人を幸せにすることこそ法人の使命という経営理念のもと、きめ細やかな介護の実現に向けて経験豊富な高齢者の雇用にも積極的に取り組んでいる。2018年には「日本でいちばん大切にしたい会社大賞※1(人を大切にする経営学会)」の実行委員会特別賞を受賞したほか、同年に「日本経営品質賞※2(経営品質協議会)」の経営革新推進賞を受賞するなど、同法人の多彩な取組みは多方面から注目を集めている。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方Ⅲ職員549人のうち、60歳以上は184人(男性19人、女性165人)で、全職員の33・5%を占める。70歳以上は76人(男性6人、女性70人)で、最高年齢者は85歳である。同法人では自宅から直接訪問介護に向かう登録ヘルパー制度を整備してきたが、もともと非正規職員である登録ヘルパーには定年制がなかったため、就業規則では60歳定年を明記しつつも、実際には65歳以降も希望により継続雇用していた。就業規則と実態の乖かい離りがあり、65歳以降も働き続けている職員の雇用状況に合わせて、2017年に定年制と継続雇用制度を廃止。これにより50代を中心にケアマネージャーや看護師などの応募が増加し、人材確保が実現している。また、若い人材の確保にも注力しており、毎年新規採用を行っている。改善の内容Ⅳ(1)制度に関する改善◦定年制の撤廃と柔軟な働き方介護業界全体が人手不足状態のなか、高齢職員が安心して働き続けられる環境を整えることを目的に、2017年に定年制および継続雇用制度を廃止した。また、定年制廃止にあわせて、それまでの準職員と嘱託職員の位置づけを見直し、より正職員に近づけるとともに、正職員の柔軟な働き方を可能にするために短時間・短日勤務が可能な限定正職員制度を導入した。限定正職員は週32時間以上の労働時間を条件にするとともに、週末の勤務が免除される。正職員は自身のライフスタイルに合わせて限定正職員に変更したり、その後正職員に再び戻ったりすることも可能である。現在48人が限定正職員を選択しており、その3割が高齢社員である。◦賃金制度60歳時点の基本給が70歳まで維持され、70歳以降は働き方に応じた金額となる。体力に自信がなくなったときや、介護などで時間的な制約が出たときなど、段階的に就業形態に応じ調整する仕組みを整えている。定年制廃止と60歳以降の賃金制度の整備により、60歳前の看護師や主任ケアマネージャーなど、有資格者の採用に役立っている。※1 日本でいちばん大切にしたい会社大賞……人を大切にし、人の幸せを実現する行動を継続して実践している会社のなかから、取組みが特に優良な企業を顕彰※2 日本経営品質賞……顧客の視点から経営全体を見直し、自己革新を通じて新しい価値を創出し続ける「卓越した経営の仕組み」を有する企業を表彰施設外観

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