エルダー2020年11月号
19/68

特集令和2年度 高年齢者雇用開発コンテストⅡエルダー17齢は自分で決められる」ことなどを明記。それが、応募者のみならず、現在働いている社員に対してのメッセージにもなっており、多くの社員が安心して働き続けられる会社であることを実感している。企業の沿革・事業内容Ⅱ同社は1907年に印刷事業を開始、1947年に株式会社を設立した。主に飲食店向けの箸袋、紙おしぼり、紙ナプキンなどの紙製品を製造・販売しており、国内トップクラスの生産量を誇る。製品の一つである紙おしぼりは、新幹線のグリーン車や旅客機の機内でも使用されている。コスト削減のため生産拠点を海外に移す企業も多いなか、国産にこだわり、自社製品には必ず「MADEINJAPAN」と表記してきた。全社をあげて環境に配慮した取組みに力を入れており、北海道産間伐材割箸、茶殻入り紙ナプキン、コーヒー殻リサイクルナプキン、FSCⓇ森林認証制度で認められた木材加工製品などの製造も手がけている。東日本大震災の際には、福島の東日本工場で製造している紙おしぼりを被災地域に無償提供するなど、社会貢献活動にも注力している。現在、全国に8営業所と7工場を展開しており、新型コロナウイルス状況下にあっても、工場は止まることなく稼働している。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方Ⅲ294人の社員のうち、60歳以上は59人(男性39人、女性20人)で、全社員の20%を占める。70歳以上は11人(男性7人、女性4人)で、最高年齢者は75歳となっている。定年は60歳で、定年後はほぼ全員が継続雇用を希望し、嘱託社員として勤務している。同社は20年以上前から希望者全員を年齢上限なく雇用する制度を採用しており、継続雇用を希望する社員は多くいたものの、再雇用者の給与は下がる制度となっていた。「生涯現役」という時代の流れを見すえ、2016年に高齢社員が長年つちかった能力を活かせる職場づくりに着手し、再雇用者の賃金が下がらない賃金体系の改正を行った。改善の内容Ⅳ(1)制度に関する改善◦評価制度導入や賃金体系の改正など2016年3月から新たな評価制度を導入し、定年後も同じ仕事を続ける場合は、定年前と賃金・賞与を変えないこととし、さらに定年前と同じ評価制度を適用し、昇給のある賃金体系に改正した。改正前は60歳が近づくにつれてリタイアする風潮があったが、その背景には、定年後の継続雇用では、定年前と比べて給与が大きく下がる賃金制度であった。賃金制度改定により、1年ごとに評価を行い、その年の貢献度を反映させるため、60歳以上でも評価が高ければ給与が上がる仕組みが整備された。なお、給与体系は等級表のようにしっかり決まったものはなく、慣例的な目安表によって決まるため、同じ役職であったとしても金額に差が出る。給与の考え方は能力・スキルよりも、むしろ仕事の内容や貢献度・期待度に重点を置会社外観

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る