エルダー2020年11月号
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2020.1118いている。年に1回の人事評価では本人に目標を立てさせ、それを直属の上司が採点し、さらに役員が確認するシステムとなっている。また、賞与は夏と冬の年2回支給されるが、人事評価制度のもと、高齢社員に対しても、60歳未満の社員と同様に評価を行い、その結果を賞与に反映している。諸手当には扶養手当、住居手当、役職手当、時間外手当、2交代手当などがある。退職金については、定年となる60歳で支給しているが、継続雇用が終了する本当の引退の際に、もう一度少額ではあるが退職金を渡している。◦勤務形態60歳で定年を迎えた後の再雇用では、本人の業務負担軽減の希望や、本人および周りから見て業務遂行能力が維持されていれば、定年前と同じ業務内容を引き続き担当する。60歳になったから他部署に異動するということはなく、職種を変更することもない。外回りの業務など、体力的に厳しくなり、異動希望があった場合は個別に対応している。現在、定年後はほぼ全員が継続雇用を希望しており、賃金制度の改定で高齢社員のモチベーションもアップし、より長く働き続けることを希望する社員が増えている。また、休日を従来の105日から120日に増やすなど、高齢社員のみならず、だれもがより働きやすい職場の創出に努め、短時間勤務・短日勤務にも対応している。高齢社員のなかには「フルタイム勤務はつらい」という人もおり、それが退職につながらないよう、短時間勤務が可能な柔軟な勤務制度を導入した。現在、高齢社員の希望者はもちろん、育児中の若手社員や介護が必要な社員にも適用している。なお、各地の事業所では、それぞれ地元出身者を中心に採用を行っており、他社を早期退職してきた人などに中途採用の機会を提供することで、地域の雇用の受け皿として貢献している。(2)高齢社員を戦力化するための工夫新入社員には新人研修およびフォローアップ研修を実施しているが、現時点では高齢社員向けの研修制度がないため、現場では、高齢社員と若手社員が互いに仕事を教え合う形が整いつつある。すべての社員の能力を活かすために多能工化に取り組んでおり、腰痛などで通院する高齢社員を各部署内でフォローする体制が可能となっているほか、高齢社員のモチベーションの維持につながる「アドバイザー」という肩書きも用意されている。また、勤労意欲の増進を目的とした、年4回の「優秀社員表彰制度」がある。年齢に関係なく管理職が部下を推薦する仕組みで、全社員が対象となるため、互いに切磋琢磨し合う職場風土が生まれている。さらに、社内のコミュニケーション向上のため、社内報(年4回)を発行しており、別拠点の活動の相互理解や、新製品のアイデア募集などの役割を果たしている。社内報で募集したアイデアから、箸袋を模もしたデザインの名刺などが実現した。ほかにも、昼食は食事室で2交代でとることなど、職場内のコミュニケーションを図る機会を積極的につくっている。(3)雇用継続のための作業環境の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み◦作業環境の改善職場環境の改善については、現場から積極的に声が上がる文化が醸成されており、問題が生じたら直属の上司に話が上がり、費用対効果を考え対応する体制が整備されている。例えば、「炎天下での屋外作業に対し外勤手当をつけたらどうか」、「扇風機つきの服を導入してはどうか」などの声があがっており、現段階では実現していないものの、検討事項として話し合いが行われている。一部の工場にはトレーニングルームを設置している

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