エルダー2020年11月号
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特集令和2年度 高年齢者雇用開発コンテストⅡエルダー23員のアイデアも取り入れることで、顧客のリピート率などを一覧で把握できるようになった。(3)雇用継続のための作業環境の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取組み◦休憩室の設置当初、休憩室は倉吉本店のみ設置していたが、接客における立ち仕事の負担を軽減させるため、全5店舗に休憩室を設置した。快適な休憩室の設置により、疲労回復はもちろん、社員同士のコミュニケーションが活発化し、それぞれの満足度の向上にも効果をもたらしている。なお、4店舗においては、社員が横になれる空間を確保しており、休憩後の作業効率アップにつながっている。また、休憩室とは別に、店舗内の顧客から見えにくい場所に休憩スペースを設置したことで、短い休息が可能になり、ストレス改善が図れると、すべての社員に好評である。◦健康管理各休憩室には体重計・血圧計を設置しており、休憩時に手軽に血圧を測定できるため、社員からの評判がよい。また、健康診断結果の要再検査事項については、「再検査」と「検査報告」を義務づけており、社員の健康に対する意識向上を図っている。◦メンタルヘルス対策店舗ごとに店長が、ワーク・ライフ・バランスを考慮した面談を毎月実施し、精神面のサポートを行っている。高齢社員は仕事への責任感が強く、家庭の事情や身体の不調時にもいい出さない傾向にあったが、毎月の面談によって仕事と生活の調和が考慮されるようになり、体調などに配慮した短時間労働にも対応しやすい職場づくりを進めることができた。(4)その他の取組み◦地域貢献と国際貢献事業の展開同社3店舗(倉吉本店・鳥取本店・米子本店)に併設している「コミュニティプラザ百花堂」は、地域で活躍する作家の展示などを通じ、「文化・芸術の地域への紹介の場」、「地域の方々との交流の場」として運営している。また、「NPO法人日本-タイ王国メガネボランティアグループ」を主宰し、不要になった老眼鏡の再生作業を行い、毎年約2千本をタイ王国へ無償配布している。メガネの再生作業には全社員が参加、本事業は20年継続しており、国際貢献の一翼をになっている。(5)高齢社員の声Aさん(62歳・男性)は、44年間勤続している生え抜きの社員。現在は補聴器部門の係長として売上げに貢献することはもちろん、人材育成にも大きな役割を果たしている。「継続雇用により安心して働き続けられる職場があることに感謝しています。自分の役割や責任の自覚をもって今後もがんばっていきたい」と語る。Bさん(66歳・男性)は同業他社で63歳まで勤務の後、2018年に入社。「お世話になった山陰のお客さまに恩返しをしたい」と、メガネ・補聴器などの技術はもとより、接遇などの伝承者として、後輩の育成に貢献している。(6)今後の課題現在の「店長会議・企画会議・商品会議」のメンバーから「改善委員会」を新たに立ち上げ、委員会で出された改善提案を高齢者の活躍の場も含めた「業務改善の具体策」としてフィードバックする取組みを目下検討中である。さらに、フィードバックされた内容を見直すことで、よりよい労働環境を整備し、高齢社員の一層の活用を視野に置いている。高齢社員の技術や経験に若手社員の新しい発想を加えて、「顧客および社員の満足」と「売上げ」の両面での向上に果敢に挑戦していく。補聴器部門で活躍中の高齢社員

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