エルダー2020年11月号
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特集令和2年度 高年齢者雇用開発コンテストⅡエルダー25上げ、選択定年制を導入。さらに、66歳以降は法人が認めた者を70歳まで再雇用することを制度化。(3)各ユニット(生活単位)に1台ずつ「リフト浴」を導入している。マンツーマンで対応ができ、移乗の必要がないので高齢職員も介助の負担が少ない。(4)施設長を中心として高齢職員は若手の「応援団」となり、仕事はもちろん日常生活でも企業理念に即した行動の指針を示している。(5)理学療法士を講師として招き、移乗行為における腰痛予防の研修を開催。(6)行事委員会を設置し、各ユニットから1人ずつ行事委員を選出。年齢や職種を超えた交流が自然と図られ、横のつながりが構築されている。企業の沿革・事業内容Ⅱ2007年に開設した「特別養護老人ホームあさひ苑」は、3千坪の広大な敷地に、耐久性の高いRC造(鉄筋コンクリート造)で建てられた平屋建築で、すべての部屋から庭が臨める全室11畳ほどの広々とした個室を備えている。キッチンやリビング・風呂を共有するユニットが八つあり、一つのユニットにつき8~10人が個室を持って生活している。特別養護老人ホームであるあさひ苑の入居対象は要介護3~5の高齢者。併設されている「短期入所施設あさひ苑」の入居対象は要支援1~要介護5の高齢者となる。2016年5月からは、宇和島市が実施している介護予防普及啓発事業「生き活き教室」を開設し、65歳以上の元気な高齢者を対象にした筋力づくりや認知症予防を行う教室を、週一回、送迎と食事つきで開催し、地域の高齢者福祉に貢献している。高齢化の状況、職場改善等の背景と進め方Ⅲ47人の職員のうち、60歳以上は18人(男性3人、女性15人)で、全職員の38・3%を占める。70歳以上は6人(男性2人、女性4人)で、最高年齢者は74歳である。「13年前の開設時から勤続する職員が年齢を重ねており、別の職場を定年退職してから当法人に再就職した職員もいます。高齢職員のみなさんに今後も長く活躍してもらいたいという思いから、定年年齢と再雇用の上限年齢を引き上げました」と亀かめ岡おか千ち寿ず事務長は説明する。改善の内容Ⅳ(1)制度に関する改善◦定年制定年制の改定にあたっては、定年制の廃止も検討していたが、職員から「定年制が廃止されると何歳まで働いたらよいか目標がなくなる」と意見があり、定年年齢を66歳と決定した。他方、介護の仕事は体力が必要なことから「60歳以降も仕事を続けたいが、体力的な面で数年先の見通しが立たない」という意見があった。そこで定年を自分で選べる仕組みを模索したところ、当機構の65歳超雇用推進プランナーが「選択定年制」を提案し、採用に至った。定年年齢は、59歳の誕生月に60歳から66歳の間で職員自ら設定している。たとえ家庭の事情や体調不良などで決めた年齢までの勤続がむずかしくなった場合にも、申し出によって定年を半年前まで前倒しできるようにし、「いつ辞めて「あさひ苑」全景

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