エルダー2020年11月号
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特集令和2年度 高年齢者雇用開発コンテストⅡエルダー27施設開設当初からのキーパーソンである。愛心会が注力している自然と調和した環境づくりは、施設長の「福祉は環境がよい施設で行わないといけない。よい環境には癒しがあることから、入居者の気持ちも職員の気持ちも落ち着かせる」という言葉からスタートしたという。施設長は職員から絶大な信頼を得ており、職員からの情報は施設長の耳に集約されるという。トップ自らの情報発信により、職員全員に対して説明を行い、職員の不安を取り除き、働きやすい環境を構築、維持している。◦職場コミュニケーションの推進介護職員は各ユニットで固定されているため、他ユニットおよび他職種の職員との交流を図るために年間行事や研修を開催している。各ユニットから1人ずつ行事委員を選出しているが、高齢職員も委員会に参加しており、若手職員と高齢職員が一緒になって和気あいあいと行事の飾りつけを行うなど親睦を深めている。(4)健康管理体制◦健康診断のアフターケア健康診断結果に基づく保健師のアフターケアは勤務時間内に受けられ、施設に在籍している看護師による健康相談なども行い、職員の健康管理意識の向上を図っている。(5)職員の反応・声岡本チズ子さん(72歳)は、68歳で看護師として入職した。入居者の健康管理、心身の管理、褥じょく瘡そう(床ずれ)予防のほか、喀痰吸引の実習指導などを行っている。定年まで勤めていた病院では、すべて医師の判断に即して行動したが、いまは自分たちで判断することが多く、それがやりがいとなっているそうだ。「ほかの施設から移動してこられた床ずれがひどい入居者さんに、介護士さんたちと相談しながら改善するよう取り組んだ結果、症状の改善が見られたときは嬉しかったですね」和田えみさん(62歳)は、介護福祉士として食事、排泄、入浴に関わる生活支援を行っている。「あさひ苑では少人数を受け持つ介護を実施するユニットケアを行っていることから、入居者と距離感が近く、仕事の段取りがしやすい点が自分に向いていると感じて、入職しました」入居者からもらう思いやりや笑顔に、驚いたり嬉しかったり、そんな心温まる出来事が仕事のモチベーションにつながっているという。(6)今後の展望職場のよい雰囲気づくりには、「人員配置の見極めが大切」と亀岡事務長は話す。毎年4月に人事異動を行っており、これまでも個人の能力や性格、経験などに配慮し、再配置に心を砕いてきた。愛心会は離職者が少なく定着率が高い。その要因には、こうした細やかな心配りによる人員の配置が、職場の雰囲気をよいものにし、人材の育成にもつながっているようだ。「今後も配置は慎重に検討し、年齢を重ねてより能力を発揮でき、活き活きと働けるような職場づくりを目ざしていきたいと思います。職員が当施設で働いていることを誇りに思ってもらえたら嬉しいですね」(亀岡事務長)介護福祉士として働く和田えみさん看護師として働く岡本チズ子さん

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