エルダー2020年11月号
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2020.1130※ 第1回~第4回はホームページでご覧になれます。はじめに〜高齢社員の活用戦略の二つのポイント〜1第3回で説明した「賃金の基礎」に沿って、高齢社員の賃金はどうあるべきかを考えてみます。まずは高齢社員の活用戦略を明確にする必要がありますが、それは高齢者がどのような仕事に就き、どのようなキャリアを積む社員として育成し活用するのかを、つまり高齢社員の社員特性を決めることになります。そうなると、正社員が会社の業務ニーズに合わせて、働く場所に限定なく働き、基幹的な業務に従事し、管理職などの幹部社員へのキャリアを積むという特性を持つ社員であるとすると、高齢社員は正社員と異なり、どのような特性を持つ社員なのかが問題になります。これまでくり返し強調したように、高齢社員の活用戦略は企業によって異なりますが、高齢社員を取り巻く環境をふまえると、それには、どの企業にも共通するポイントが二つあります。第一は、福祉的雇用から脱して、高齢社員を経営に貢献する貴重な人材として位置づけることです。わが国の労働市場をみると、企業は平均すると「5人に1人は高齢社員」という現状にあります。企業にとって、これほど大きな社員集団化した高齢社員を、成果を期待することなく雇用する余裕はなく、戦力として活用する以外に選択肢はないはずです。ですから、企業には高齢社員を活用する「覚悟」が求められ、この「覚悟」が効果的な活用戦略をつくるにあたってのキモになります。高年齢者雇用安定法によって義務化されているのでやむを得ず雇用エルダー 高齢社員の賃金戦略検索 高齢者雇用を推進するうえで重要な課題となるのが高齢社員の賃金制度です。豊富な知識や経験を持つ高齢社員に戦力として活躍してもらうためには、高齢社員の能力や貢献を適切に評価・処遇し、高いモチベーションを持って働いてもらうことが不可欠となります。本連載では、高齢社員戦力化のための賃金戦略について、今野浩一郎氏が解説します。高齢社員の学習院大学名誉教授 学習院さくらアカデミー長 今野浩一郎いま  の第5回賃金を決める社員特性

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