エルダー2020年11月号
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2020.1132※ 「職務評価を用いた基本給の点検・検討マニュアル」(平成31年3月発行)   https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/pamphlet/guideline.html果に直結する「『仕事の重要度』に基づいて払う」が賃金の合理的な決定方法になります。これを高齢社員の賃金を決める「仕事原則」と呼ぶことにします。この「仕事原則」に基づくと、企業にとって重要な仕事に就く高齢社員には高い賃金、重要でない仕事に就く高齢社員には低い賃金ということになりますが、定年を契機に仕事内容が変われば賃金が変わるということも示しています。そうなると「仕事の重要度」を評価することが必要になります。そのための方法が職務評価です。職務評価にはいくつもの手法がありますが、最も代表的な手法は要素別点数法です。これは、①仕事の内容を「どの程度の専門性が必要とされるのか」、「対人関係がどの程度複雑なのか」などの要素ごとに評価し得点化する、②この要素ごとの得点を合計して「仕事の重要度」を表す指標とする、という手順をふむ手法です。これにはいくつものタイプがあるので、自社に合ったタイプを選択することが重要です。なお厚生労働省は、同一労働同一賃金に対応するための「職務評価を用いた基本給の点検・検討マニュアル」(平成31年3月発行)※を作成しています。要素別点数法による職務評価の方法がていねいに解説されているので、参考にしてください。「制約社員」特性に合わせた「制約配慮原則」3■「制約社員」と賃金決定の「制約配慮原則」高齢社員には、もう一つ重要な「制約社員」という特性があります。定年前には、業務ニーズに合わせて機動的に活用するという活用戦略のもとで、転勤などによって働く場所を変える、残業や休日出勤を行うなど、会社の指示にしたがって柔軟に働いていました。しかし定年を契機に企業の活用戦略は変わり、さらに高齢社員の働くニーズに合わせて、転勤、残業・休日出勤がないなど、働く場所、働く時間、仕事内容仕事のプロセス価値を決める基準※筆者作成図表 賃金決定の要素と諸原則能力能力の仕事への投入仕事の遂行成果能力レベル労働給付能力レベル仕事の重要度成果の大きさ仕事プロセスと賃金決定要素制約配慮原則仕事原則働く制約度が異なると賃金は異なる同じ重要度の仕事には同じ賃金

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